AIが従来のキャリアパスを一変させる中、アメリカの名門大学で、夏休みに大手企業のインターンに参加する代わりに、サンフランシスコで人工知能(AI)企業を立ち上げる学生が増えている。7月5日付のウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。

プリンストン大学のチャールズ・ミュールバーガーさんも、大手テック企業やロケット開発会社からの誘いを断り、オープンソースのAIモデルを端末上で動かす事業を始めた。起業に専念するため休学し、「今、制作に携わっている人が未来の姿に発言権を持つ」と話す。
広がる支援拠点
背景には、AIの急速な進歩によってソフトウエア開発など従来の安定した就職先が揺らぎ、新卒市場が厳しくなったことがある。学生からは、講義の1学期分より、変化の速い起業環境での1カ月の方が多くを学べるとの声もある。
このように“寮部屋から革新を起こす”若者たちの多くはこの夏、サンフランシスコ各地で新たな拠点を開設した。卒業生やベンチャーキャピタルの支援を受ける学生運営の「イェール・ハッカー・ハウス」は、ノブヒルのアパートを確保。15人のイェール大学出身の創業者たちは、エナジードリンクやハードウェア購入時の段ボール箱、入り口に置かれたスニーカーで雑然とした空間で共に生活し仕事に取り組んでいる。共同創業者との衝突や株式配分を巡る悩みも仲間で支え合っているという。マサチューセッツ工科大学(MIT)、ハーバード、プリンストンの学生が主体の新設の起業支援組織、TekTrekも、プレシディオに仮設キャンパスを構えた。
休学か卒業か
イェール大学の2年生を終了したレイア・ライアンさんは、バイオ研究所向け知識システムを手がけるCortexを共同創業。春には評価額1000万ドルで60万ドルを調達し、初の商業契約も獲得した。投資家への責任を理由に休学し、そのまま退学する見通しだ。
一方、学位を知的成長と安全網のために必要と考える学生もいる。ベンチャー投資家アン・ミウラコー氏も、事業が評価額10億ドル以上の「ユニコーン」になるか見極めるのは難しいとして、安易な退学に反対する。AI起業熱は学生に新たな選択肢を与える一方、教育と挑戦をどう両立するかという重い判断も迫っている。
















