全米の教師や生徒が教室でのAI(人工知能)の活用を進める中、全米最大の教育システムを擁するニューヨーク市教育局(DOE)は27日、来年度に計画していたAIに特化した高校を開校する計画を凍結すると発表した。AIの急速な導入とその潜在的な弊害に対する保護者からの反対が理由。ニューヨークタイムズが同日、伝えた。

凍結となったのは、AI重点の新しい高校、ネクスト・ジェネレーション・テクノロジー・ハイスクール
(Next Generation Technology High School)。マンハッタンの金融街に開校し、9年生約100人で始まり、将来的に約450人規模へ拡大する計画だった。AIの「倫理的な使い手」を育てることを掲げ、コンピューター科学、ロボット工学、高度な数学なども扱う予定だった。新任のカマー・サミュエルズ教育局長は、教室でのAI導入やその安全性、批判的思考への影響について保護者が抱く懸念や疑問を理解しているとし、「私はこの技術について非常に慎重に検討したいと考えている」と語った。
「AIの影さえにも、強い反対」
保護者たちは、学校で使用されている、あるいは生徒のコンピューターからアクセス可能なAIプログラムについて、またそれらのアプリケーションや収集されるデータに関する情報の欠如について懸念を表明。一部の家族は最近、マムダニ市長に対し、チャットボットなどの生成AIについて2年間の導入停止を求める数千人の署名を集めた請願書を提出した。
市教育監督委員会のグレゴリー・フォークナー委員長は、保護者から寄せられた多数のメールや会話の中で、この学校を支持する意見はごくわずかだったと明かす。「AIの影さえ見えるものには、強い反対がある」とフォークナー氏。「人々は、この技術そのものと、それがどのように使われることになるのかについて、非常に不安を感じているのです」。ニューヨーク市の教育活動家であり、AIモラトリアム連合のメンバーであるレオニー・ハイムソン氏も「ニューヨーク市の保護者たちの激しい怒りは、私が25年間取り組んできた教育問題の中で、これまでに見たどの事例にも匹敵するほど」と語った。
人種隔離政策助長する入試制度にも反発
フォークナー氏は、AI新設校への反対意見はAIだけにとどまらないと、また同校の選抜制入試にも懸念を示した。選抜制入試がニューヨーク市の学校を全米で最も人種隔離が進んだ学校の一つにしている要因だと指摘。「貧しい子どもたちや有色人種の子どもたちはある学校システムに、裕福で特権的な子どもたちは別の学校システムに振り分けられてしまう。選抜制の学校がそうした不均衡を生み出していることは明白であり、われわれはそれに立ち向かわなければならない」と述べた。
サミュエルズ氏は同時に、アッパー・ウエスト・サイドの複数校を閉校・移転する計画も撤回。保護者や教職員から、計画が急ぎすぎで協議が不十分だとの声が上がっていた。今後は、家庭や学校コミュニティーとの対話を深めながら計画を見直す方針だ。
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