連載783 米対中ロによる「新冷戦」は宇宙に拡大! すでに全人類が監視されている (完)
(この記事の初出は5月10日)
民間ステーション3機に加えインドも計画
「アクシオム」に続くのが、ロッキード・マーティン社が主導して、ボイジャー・スペース社、その傘下にあるナノラックス社が参画する「スターラブ」(Starlab)だ。
ロッキード・マーティン社は、宇宙空間で膨張させる居住区と、金属製の結合モジュール、推進区画、大型ロボットアームなどを製造し、ボイジャー・スペース社が運営にあたる。
大きさはISSの3分の1ほどで、定員は4名。一体構造で、1度の打ち上げで軌道に乗せる予定で、2027年に運用が開始される。
民間宇宙ステーション計画の3番目が、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOがつくった宇宙企業ブルーオリジン社が主導する「オービタル・リーフ」(Orbital Reef)だ。
この宇宙ステーションは、なんと、「宇宙に浮かぶビジネスパーク」という位置付けで、2030年、ISS退役後の本格的な宇宙拠点を目指している。
ボーイング社、シエラ・スペース社なども参画し、アリゾナ州立大学をはじめとした14大学も協力する。大きさはISSと同程度で、科学ゾーンと居住ゾーンに分かれていて、最大10人が滞在できるという。
こうした民間3機に加え、インドも独自の有人宇宙ステーション「ガガニャーン」(Gaganyaan)」の打ち上げ計画を公表している。この宇宙ステーションは、宇宙ステーションと言うより小型宇宙船と言ってよく、搭乗人員は3名で、地球低軌道を約15日間周回するという。
EV、メタバース、宇宙ステーション
このように見てくると、世界はこれから宇宙覇権争いにより大きく変わろうとしているのがわかる。ウクライナ戦争が続き、インフレが進み、まだコロナの収束も見えない。そんななか、地球温暖化対策のための産業構造変換が行われ、やがて地上を走るクルマはEVになる。そして、ヴァーチャル空間はメタバースとなり、アバターによるコミュニケーション時代となる。そして、空の上、地球周回軌道には複数の宇宙ステーションが周回する。
おそらく、2030年までには、月面基地も月周回の宇宙ステーションもつくられるだろう。
さらに視点を変えれば、AIの発達によって、私たちの仕事と生活は激変しているだろう。
それなのに、プーチン大統領は、帝国主義時代の地政学を持ち出して、領土拡張のための戦争を行っている。中国もまた、今後それをやりかねない。
世界はいま、アメリカを中心とする西側ブロックと中ロブロックに分かれつつある。この「新冷戦」が宇宙に展開されるのは間違いないので、私たち日本は心してかからなければならない。
憲法改正だの、敵基地攻撃能力だの、核武装だの、現実を無視した化石論争を、いったいいつまでやり続けるつもりなのだろうか。
(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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