連載978 なぜ日本経済は復活できないのか? 最近のニュースが表だって指摘しない真実 (上)
最近、つくづく思うのは、もはやニッポンは本当にダメ、経済の復活などありえないということだ。北朝鮮のミサイル連発になす術はなく、H3ロケットは時代遅れのうえに打ち上げに失敗し、三菱ジェットも失敗して撤退。トヨタはEVに乗り遅れ、日銀人事は迷走し、岸田政権は現状認識のない政策を続けている—–。
これで、日本経済が復活できるわけがない。嘆いても仕方ないが、嘆かずにはいられない。
北朝鮮のミサイルは撃ち落せないのか?
それにしても北朝鮮の“ロケットマン”金正恩は、ミサイルを何発撃てば気がすむのだろうか?
2月18日に発射され、日本のEEZ内に墜ちたミサイルは、アメリカ本土にも届くICBMだという。北朝鮮は20日も弾道ミサイル2発を発射し、「戦術核攻撃の手段である超大型放射砲」と発表した。
ミサイル発射は、今年に入ってこれで3回目。この2年間で通算すると、月に2回は発射している計算になるから、金正恩にとってミサイル発射は月例行事である。まさに、打ち放題だ。
しかも、毎回、ミサイルは改良され、中距離から長距離まで、巡航から弾道まで、メニューもどんどん豊富になっている。
ミサイル発射は、距離のいかんにかかわらず、すべて国際法違反、国連安保理決議違反である。だから、日本は防衛のために撃ち落とすこともできる。しかし、これができない。できようがないのだ。
ロケットマンのご機嫌次第の日本の安全
そんなバカな。ミサイルデフェンスのために、海上自衛隊はイージス艦に迎撃ミサイル「SM3」を搭載し、陸上自衛隊は地上にPAC3を配備しているではないか。この「2段構え」でミサイルを撃ち落とすはずではなかったのか、と思う向きもあるだろう。
しかし、このシステムは機能しない。
専門家が言うには、北朝鮮は抵高度飛行のミサイルを開発していて、これだと、「SM3」では撃ち落せない。なぜなら、「SM3」は大気圏外で撃ち落とすことを前提につくられているからだ。
また、PACでの迎撃は防護範囲が狭く、日本全体などとてもカバーできない。局地的な防衛しかできないのだ。
つまり、ロケットマンが本気でミサイル攻撃してくれば、米軍がなんとかしない限り、日本はひとたまりもない。北朝鮮はすでに核もICBMもSLBMも持っている。アメリカが、本土の都市が灰燼に帰すのを覚悟して、北朝鮮と戦争を始めるわけがない。
本当に日本は情けない国になってしまった。私たちは、常に北朝鮮のロケットマンのご機嫌を気にしながら生きなければならないのだ。しかも、この事実を、多くの日本人は知ろうともしない。
できるわけがないことに予算を付ける愚
「敵地攻撃能力」だの、「防衛費増強」だのの議論も本当にバカバカしい。できるわけがないことを机上に乗せて、それに予算を付けているのだから、異常を通り越している。
「増税で」という岸田首相の失言はあったが、増強予算はあっけなく決まってしまった。決まってしまうと、メディアもおとなしくなり、増強予算がなにに使われるかなどという追及はしなくなった。
で、なにに使われるかと言うと、おそらく、その多くは自衛隊員の給料や装備品に消える。そして残りが、防衛計画で示されたトマホークなどの兵器の購入や日本独自の中距離ミサイルの開発に使われる。
この中距離ミサイルの独自開発ほど、おこがましくて、情けないものはない。なぜなら、そんなものはできっこないからだ。できたとしても役立たずで、北朝鮮のミサイルにも及ばないだろう。
(つづく)
この続きは4月10日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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