2023年7月7日 NEWS DAILY CONTENTS COLUMN 山田順の「週刊 未来地図」

連載1037 中国デカップリングは日本を確実に貧しくする。 耐えられるのか、日本経済? (中2)

連載1037 中国デカップリングは日本を確実に貧しくする。 耐えられるのか、日本経済? (中2)

(この記事の初出は2023年6月13日)

 

経済産業省の「中国撤退」補助金

 現在、日本政府は、アメリカの意向もあるが、日本企業の中国撤退を加速させようとしている。そうして、国内回帰させることで、日本経済を復活させようとしている。
 そのため、経済産業省は、2020年に、国内拠点を整備して生産拠点の集中解消に取り組む企業に向けた補助金を創設した。その額は2200億円。これに、企業が殺到し、申請額が1兆7000億円になったことは、当時の報道でよく知られている。
 しかしいまも思うが、2200億円とはあまりにも少ない額だったのではなかろうか? 同時期に、アメリカ政府が準備した「脱中国補助金」は、日本円にして5兆5000億円である。
 「脱中国補助金」は、政策としては当然としても、単なる補助金だという点で、日本政府の知恵のなさと、やる気のなさを浮き彫りにしている。なぜなら、日本の年間の対外援助額(2021年)は、OECDによると162億ドル(約1.8兆円、当時の為替レート)に達しているからだ。なぜ、海外援助より日本企業援助がこれほど少ないのか、それを批判したメディアはない。
 さらに、「脱中国補助金」には大きな問題があった。申請をした企業は、一部に大企業はあったが、ほとんどが中小企業だったという点だ。

半導体装置にみる中国禁輸のジレンマ

 日本から見た中国デカップリングの最大の焦点は、米中の半導体戦争である。2022年10月にバイデン政権が発表した「半導体輸出禁止通達」は、事実上、中国に先端半導体を与えない、つくらせないというものである。
 これを受けて、日本も得意分野である半導体製造装置を中国に輸出できなくなった。
 日本政府は、3月31日に、「半導体装置23品目規制」を発表した。影響を受けるのは、東京エレクトロンやSCREENホールディングス、ニコンなど10社ほどで、これらの企業は大きく売り上げを落とす。
 この措置は、7月から実施される。
 半導体はすべての産業の「コメ」である。先端半導体がなくなれば、中国の産業は10年は停滞せざるをえない。AI、スパコン、IoT、自動運転、宇宙開発などの発展はなくなる。こうした制裁は、国際ルールや人権を無視し、世界秩序の変更を狙う国に対して行うべき措置ではある。
 しかし、そのダメージは、当然、措置を課す側にもバックラッシュとして返ってくる。

(つづく)

この続きは7月10日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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