アメリカの大学は今、トランプ大統領の再戦により大きな転換点を迎えている。高等教育関係者の多くは、学術界を己の意のままにコントロールしようとするトランプ氏の野望が、アメリカの研究と科学におけるリーダーシップを失わせるのではないかと懸念している。ニューヨークタイムズが20日、伝えた。

ハマスがイスラエルを攻撃する3日前の2023年10月、コロンビア大学のネマト・シャフィク新学長は「その時代における偉大な議論を踏まえた厳格な思想家。社会を変革するような画期的な研究を行う研究者。大学の使命を大学の門をはるかに越えたところまで広げる大学が必要」と説いた。17か月後、シャフィク氏は去り、トランプ氏は全く異なる答えを出している。
トランプ氏は「西洋文明の擁護」「労働力育成」「急進左派からの奪還」を掲げ、抗議活動や一部研究への資金提供を制限し、大学の自由を揺るがしている。
コロンビア大学では4億ドルの助成金と契約が打ち切られた他、他大学でも研究所の閉鎖や人員削減が進行。ジョンズ・ホプキンス大学は先週、米国および海外で2000人以上の雇用を削減すると発表した。これは同校史上最大の解雇数となる。
トランプ氏の母校ペンシルベニア大学は、トランスジェンダーの女性が女子水泳チームで競技することを認めたことを理由に、トランプ政権が同大学への約1億7500万ドルの資金援助を一時停止すると発表する前に新規採用の凍結を発表している。
イリノイ大学では、連邦政府の資金援助を受けていた大豆イノベーション研究所が来月閉鎖される予定だ。同大学アーバナ・シャンペーン校の学長、ロバート・J・ジョーンズ博士は、インシュリンの生産から人工知能に至るまで、あらゆる研究が最終的に衰退し、大学が「公共の利益」と呼ぶものを推進する能力が損なわれるのではないかと懸念する。大学側は道徳的権威や教育の理想を訴えるが、政権との対話は困難を極めている。
ニューヨークタイムズは、高等教育の目的をめぐるこの衝突の結果は、今後1世代以上にわたってアメリカ文化を形成することになるだろうと予測。大統領がその野望を実現すれば、保守的な州やリベラルな州の公立・私立を問わず多くのアメリカの大学が空洞化し、ただの高等学校のようになりかねないと指摘する。さらには、「アメリカの大学が持つ国際的な影響力や研究力が後退し、国家全体の文化と技術の発展に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警告している。
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