ライフ誌がレッドフックを「コカインがまん延するアメリカで最悪のエリア」と酷評した1990年代。家具のイケア、そして食料品店のフェアウェイの大型店舗がオープンし、人々がこの地に目を向け始めたのもほんの数年前のこと。レッドフックはノスタルジックな港町の雰囲気がアーティストを魅了し、古き良きブルックリン文化がいまだ息づく場所。さらに新しいエネルギーが加わり、独特の化学変化を遂げています。
レッドフックに行ったなら必ず足を運ぶべきは、「サニーズ」。潮風にさらされさびた緑色のピックアップトラックが停まっているのが目印です。ここは1995年から続く、まさに「港の酒場」。中はアンティークのトイが飾られ、当時のままのレトロな雰囲気。ライブミュージックや上映会などもプレイし、レッドフックのアンダーグラウンドカルチャーを育んでいます。

Sunny’s
sunnysredhook.com
「ベイト&タックル」も興味深い店。色褪せた店頭の看板も、かつて街の漁師が集った社交場/釣具屋であった当時のものをそのまま使用。店内にはカジキマグロの置物や色褪せた釣りのポスターが残され、くわえてシカやクマなどの剥製も飾られた雑多な山小屋のよう。さらに下町のダイブバーを思わせるようにカラフルな照明が店を怪しく照らせば、酒もとくに進むことでしょう。

Redhook Bait & Tackle
redhookbaitandtackle.com
アコースティックやライブミュージックが好きなら、「ジャロピー・タバーン」も外せません。伝統音楽をサポートする空間として音楽スクールも併設。入口には珍しい弦楽器が飾られ、奥にある小さな劇場のようなステージではフォークやブルーグラス、カントリー、ブルースなどのライブミュージックが繰り広げられています。隣接するバーもまたいい感じ。夜な夜な音楽談義が繰り広げられる知る人ぞ知る空間です。
photos by Shinji Murakami
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。
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