ベネズエラで政府のリスク評価アナリストとして働いていたホセさんは、2023年末に複数の死亡脅迫を受けたため同国を脱出した。難民申請中の彼と、アメリカ市民のヤヤさんの夫婦はニューヨークで自主的な出国を考える人々のうちの一組だ。トランプ政権はこれを「自己退去」と呼んでいる。政権は最近、この選択肢を積極的に宣伝し、政府のアプリでボタンをタップするだけで簡単に行えるかのように示唆してきた。しかし、弁護士や移民権利活動家、移民本人へのインタビューによると、このような出国は簡単な作業ではないという。5日付けのゴッサミストがレポートしている。

自主退去の妨げになるのは、海外移住のための莫大な費用、合法的に働けるかどうかの不確実性、そして命の安全だ。ホセさんとヤヤさんの場合、ベネズエラへの帰国は政治的混乱と暴力から選択肢から除外されている。米国税関・国境警備局(CBP)のウェブサイトでは、アプリ利用者に「出国者」を選択し、次に「出国意思表明を提出」を選択するよう指示。その後、ユーザーはアプリを使用して自身の写真を撮影し、個人情報を入力するよう求められる。同機関は、自己退去は「安全」で便利であり、これを行う者は「アメリカで稼いだお金を保持できる」ほか、将来の「合法的な移民」の機会を保持できると主張している。
しかし、一部の弁護士はCBPアプリの使用に警戒を促している。非営利の移民支援団体イミグラントARCの執行ディレクター、カミーユ・マックラーさんは、「アプリ使用に関するリスクを隠蔽している懸念がある」と指摘。「人々は、アメリカへの再入国が禁止される可能性があることに気づいていない」と警告する。
自主出国に反対する人もいる。クイーンズ・ジャクソンハイツの移民弁護士のブライアン・プー・フォルクスさんは、合法的な地位を得るための手続きを進めていた一部のクライアントに対し、手続きを延期し、自身のケースに注目を集めないよう助言したと話す。「この政権が永遠に続くわけではない。数年間待つ方が理にかなっているかもしれない」。移民コミュニティーを支援しているニュージャージー州ハイランドパークの改革派教会のセス・カパー・デール牧師は、政権の自己退去キャンペーンへの協力を強く反対している。「歴代の政権下で『自主退去すれば戻りやすくなる』と述べた人々がいた。しかし、それは決して真実ではない。虐待的な政府に登録することは正しいことではない」とデール牧師。
ジャクソン・ハイツ移民センターの創設者であるヌーラ・オドハーティ=ナランホさんは、政治情勢のため家族全員が国外退去した事例は知らないと話す。特に彼女が最もよく接するラテンアメリカ諸国出身の移民にとって、故郷の政治的混乱に戻るという考えは恐ろしいものだと強調する。「多くの人が戻るべき場所がない。家を売り、家族を残してここに来たのです。命を狙われる危険から逃れるために全てを捨てた。そんな状況で、再び危険に戻ることができますか?」
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