早稲田アカデミーNY校の川村です。前回の記事で、受験学年(小6、中3)の夏休みの過ごし方についてご紹介いたしましたところ、さっそく保護者から「1日10時間も勉強ですか?」と驚きの声をいただきました。もちろん、「1日10時間」というのは象徴的な目安であり、必ずしもその時間全てを勉強に充てなければならないわけではありません。ただ、実際にそれだけの時間を確保して取り組んでいる生徒もいますし、帰国生入試は早い学校では11月から始まることを考えると、夏休みはまさに「学習量を稼ぐチャンス」といえます。とはいえ、ただ長時間やれば良いというものではありません。学習の成果は「質 × 量」で決まります。やるべきことを淡々とこなす「精神力の強さ」も、この時期に身に付けたい力の一つです。また、「得意科目をさらに伸ばす」のではなく、「苦手な分野を“普通”のレベルに引き上げる」ことが重要です。そのためにも、普段よりもやや「基本寄り」の問題に立ち返り、基礎固めを丁寧にすることをおすすめします。そして、そのためにも十分な学習時間の確保が必要になります。ぜひ充実した夏休みにしていただきたいと思います。
さて、今回のテーマは「非受験学年に向けた夏休みの過ごし方」です。多くの学校では6〜7月に学年が終了し、9月初旬に新学期が始まるのではないでしょうか。日本と比べて長いこの夏休みを、どのように過ごすかはとても大切です。
せっかく海外で生活しているわけですから、ここでしかできない経験をたくさんしてもらいたいと思います。サマーキャンプ、習い事やワークショップ、旅行なども良いでしょう。一時帰国を予定されているご家庭も多いかもしれませんね。そうした体験を、後から「振り返る」こと、できれば文章などで「まとめる」ことを強くおすすめします。
というのも、帰国生入試の面接試験では「滞在していた国と日本の違いは何ですか?」といった質問がよく出されます。その際に問われるのは、ずばり「海外での経験値」です。さまざまな体験を通して、何に気づき、何を学び、それが自分にどう影響を与えたのか。さらに、それらの経験を将来、つまり進学後の学校生活でどう生かしていくかを論理的に語ることが求められます。帰国生を受け入れている学校にとって、海外経験を基にした多様な視点をもつ生徒は貴重な存在です。その生徒がクラスメートに良い影響を与えることを期待しています。面接試験は言い換えれば「自己プレゼンテーションの場」。「私は海外でこんな経験をし、こういう学びを得た。それをこう生かしていきたい」と説明できるよう、日頃から「材料」を集めておくことが大切です。その意味でも、この夏休みは貴重なチャンスです。ぜひ素敵な経験をたくさんしていただきたいと思います。
もちろん、将来の受験を見据えて、勉強もしっかりと取り組んでほしいと思います。大切なのは「メリハリ」です。楽しむときはしっかり楽しむ。その上で、やるべきときにはしっかりとやる。そして、良い経験をし、良い気づきを得て、健やかに成長していく—そんな夏休みを過ごしてほしいと願っています。
早稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
早稲田アカデミーNY校 川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門で英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせはこちらまで(メール:newyork@waseda-academy.com)
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