2025年8月28日 NEWS DAILY CONTENTS

シェフや心理療法士まで!? 仕事で広がるAIの「リアル活用術」5選

ChatGPTが一般公開されてから約3年。シェフはAIでレシピを考案し、医師はMRIやCT画像の読影に活用し、科学者は新たな発見を解き明かしている。ピュー・リサーチ・センターの調査によるとアメリカで働く人の約5人に1人がAIを「少なくとも半定期的に利用している」と回答。4日付のニューヨークタイムズは読者から寄せられたAI活用術を紹介しており、その中から5つをピックアップした。

まだまだ多くの問題を抱えるAIだが、驚異的なスピードでわれわれの日常生活に影響を及ぼしている。写真はイメージ(photo: Unsplash / Steve Johnson)

1. レストランメニュー用のワインを選ぶ

クリーブランドでレストランや醸造所、ダンスクラブを経営するサム・マクナルティーさんはChatGPTを使って売上レポートを分析し、売上拡大のアイデアを練っている。ワイン選びにも活用しており、卸業者から送られてきた「膨大な」ワインリストをチャットボットに送り、特定の価格帯や産地などの指示を与えリスト作成に活かしている。マクナルティーさんは「ワイン販売代理店との無数の会議、試飲、議論から解放された」としながらも「ワインプログラム構築プロセスで唯一恋しいのは試飲の瞬間・・・今のところAIには、あのひと口を味わう喜びを再現できない」とコメント。

2. 教育基準を満たす授業計画を作成する

プエルトリコのESL教師マヌエル・ソトさんは、授業計画の作成、プエルトリコ教育省が定めるカリキュラムの遵守、基準や期待値との整合性の確認などをChatGPTに代行してもらっている。来年からAIをカリキュラムにも組み込む計画だ。「基本的な読解力や文章力育成のツールになれば」とコメント。

3. 治療計画を作成する

心理療法士のアリッサ・スワンクさんは人工知能を活用し、診察時の自由形式のメモを医療従事者向けの構造化文書形式であるSOAPノートに変換している。SOAPとは主観的所見・客観的所見・評価・計画の頭文字で、診察内容と今後の対応を要約する手法だ。これにより週に数時間の時間を節約できるとスワンクさんは推定しているが「それ以上に、先延ばしにしがちなこの作業を確実に完了させる助けになっている」とコメント。

4. インスピレーションの源として活用する

ビジュアルアーティストのマリア・トリアンダフェロスさんは、自身の芸術活動においてAIをインスピレーションの源として活用している。自身の作品数十点をアップロードし、AIモデルに自身のスタイルを理解させ、プロンプトでモデルを誘導し、そのスタイルに基づいた新作を生成させる。そこからテーマ別に分類し、完成度の高い作品の基盤として活用する。またモデルに批評家役も依頼している。「人間の美術評論家ほど繊細ではないかもしれないが、作品の重要な側面を解読してはくれる」とトリアンダフェロスさん。ただし最終作品の制作にAIは使わないという。「試してみたけど、退屈でイライラしただけだった」

5. 生徒がAIを使用しているかを検出する

高校で英語を教えているマシュー・ムーアさんはマジックスクールAIとChatGPTを活用し、英語の授業向けのさまざまなワークシート、評価基準、画像、教育用ゲームを生成している。マシューさんの生徒たちも同様に利用しており、その点についてマシューさんは「自分が使っているのに生徒に使うなと言うのは偽善だ」と打ち明ける。しかし同時にマシューさんは、生徒たちが許可された方法でAIを利用しているか確認する作業にもAIを活用している。

マシューさんは「高度なAI論文は高校生の文章レベルを容易に模倣できる」と指摘。Humazine A.I.のような別のサイトにAI生成論文を入力し、文章をより自然に見せようと細工するなど「境界線を越えた時点で、生徒からのタイプされたエッセイや作文課題は一切受け付けられなくなる」と断言。「全て試験条件下で実施するか、手書きで提出させる必要があるだろう」とコメントしている。

                       
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