現代の大人に響く“ピュアな恋物語”、エンタメ本場で輝くアジア発ミュージカル【今月のブロードウェイ、これ観とこ!】

ブロードウェイミュージカル「Maybe Happy Ending」より(photo: Matthew Murphy, Evan Zimmerman)
今観るべき、旬のブロードウェイ作品を紹介していく新コーナー「今月のブロードウェイ、これ観とこ!」。第1回となる今回は、開幕から約1年を迎えた今でも口コミが絶えず、アジア生まれの作品という点で日本人にも親しみ深いミュージカル 「Maybe Happy Ending(メイビー・ハッピー・エンディング)」をフィーチャー。2人のロボットが織りなす純真無垢なラブストーリーに、観客の目には自然と涙が溢れる。

8年越しのブロードウェイデビュー
ブロードウェイで2024年11月に上演がスタートした本作の舞台は、近未来のソウル。人間そっくりの「お手伝いロボット」たちが孤独に暮らす世界で、オリバーとクレアという2体のロボットが出会い、感情という未知の領域に戸惑いながらも、「誰かを思う」ことの尊さを学んでいく。

本作は2016年に韓国で初演。当時から海外展開を視野に入れながら、繊細で普遍的なテーマが高く評価され、韓国ミュージカルアワードで小劇場部門の最優秀ミュージカル賞を含む6部門を受賞。その後、英語版としてアメリカ国内でも試演が重ねられ、満を持してブロードウェイへと進出した。
まるで恋愛小説のページをめくっているよう
韓国発のオリジナルミュージカルがブロードウェイで上演され、長期的に成功を納めるのはきわめて珍しい快挙である。ちなみに、日本発のオリジナルミュージカルがブロードウェイでロングラン上映された例は、まだない。

本作は、現在上演中のラブストーリーが描かれているブロードウェイ作品「Aladdin(アラジン)」「The Great Gatsby(華麗なるギャツビー)」「Moulin Rouge!(ムーラン・ルージュ)」「& Juliet(アンド・ジュリエット)」といった壮大なスケールの愛の物語とは対照的に、たった2人のロボットと、時折登場する “使用人” だけで紡がれるミニマルな世界観が特徴。
繊細な感情の動きや時間軸が、最新のプロジェクション映像や可動式の舞台装置を駆使して表現されており、まるで恋愛小説のページをめくり、読み進めていくような感覚に陥る。

「観客として憧れていた存在に」
オリバー役を演じるのは、「Glee(グリー)」などで知られ、今回の演技でトニー賞主演男優賞(2025年)を受賞したダレン・クリス(Darren Criss)。クレア役は、ブロードウェイデビューとなるヘレン・J・シェン(Helen J. Shen)。

ヘレンはアジア系アメリカ人俳優であり、「この作品に出演することで、”観客として憧れていた存在” に自分がなれると感じたのです」本作への出演をこう語る。また彼女をはじめ、主要キャストの大半をアジア系俳優が占めるなど、作品の舞台である韓国の空気感がしっかりと息づくキャスティングも話題となった。

2025年6月に開催された第78回トニー賞では、10部門ノミネート/6部門受賞(作品賞・脚本賞・オリジナル楽曲賞・演出賞・舞台美術賞・主演男優賞)という快挙を達成した本作だが、韓国で創作・初演されたオリジナルミュージカルとしてトニー賞を受賞したのは史上初だという。
■ もうひとつのリアル・ラブストーリー?
現在ダレン・クリスは休演中で、2025年11月5日より復帰予定。それまでの期間、オリバー役は アンドリュー・バース・フェルドマン(Andrew Barth Feldman) が務める。

アンドリューは人気を博したブロードウェイミュージカル「Dear Evan Hansen(ディア・エヴァン・ハンセン)」で史上最年少(16歳)主演を果たした実力派。さらにプライベートではクレア役のヘレンと実際のパートナーでもあり、舞台上の愛と現実の愛が交錯する“リアル・ラブストーリー”としても注目を集めている。
ロボットという人工的な存在を通して描かれるのは、現代の人間が忘れかけていた、大切なメッセージ。デジタル時代の今だからこそ響く「Maybe Happy Ending」のメッセージに、きっと心を動かされるはずだ。
文/ナガタミユ
Maybe Happy Ending
劇場
Belasco Theatre
(111 W 44th St)
チケット情報
https://www.his-usa.com/tour/city/nyc
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