ニューヨーク州で11日、州内で販売される全ての使い捨ておむつに成分表示を義務付ける州法(S.2279-C)が施行された。メーカーは香料や染料、接着剤、漂白剤などを含む全成分をパッケージに明記することが求められる。消費者情報サイト、コンシューマーリポーツが同日、伝えた。

おむつは通常、吸収体、防水外層、トップシートという3層構造となっているが、この法律は、吸収体を構成するセルロースやパルプの種類、液体を保持する高吸水性ポリマー、外装素材など、意図的に添加された成分の開示をメーカーに求める。
背景には、これまでの調査で乳児用および大人用おむつから、揮発性有機化合物(VOC)やフタル酸エステル類、ホルムアルデヒド、パラベン、ビスフェノール類、合成染料、香料などが検出され、長期的な暴露が肝臓・腎臓・内分泌系・中枢神経への影響を及ぼす可能性が指摘されてきたことにある。また、一部の添加物はアレルゲンとして知られ、発疹や皮膚刺激を引き起こす恐れがある。こうした物質に日常的に触れることは、着用者や介護者にとって健康リスクとなり得る。
乳児は生後3年間で最大4800枚(1日平均4.4枚)のおむつを使用するが、成人より皮膚が20~30%薄い。長期間の継続的な接触で、微量の化学物質でも蓄積する可能性がある。法案を提出したリンダ・B・ローゼンタール州議会議員(民主)は「本来、有害な化学物質がこうした製品に含まれるべきではなく、消費者が成分情報にアクセスできる環境が不可欠だ」と強調する。
企業が成分表示を怠った場合、州内年間売上の1%(ただし、1パッケージ当たり最大1000ドル)が罰金として科される可能性がある。表示が見当たらない場合、消費者は州司法長官事務所に報告でき、使用中の健康被害の懸念は SaferProducts.gov から通報できる。
同法はニューヨーク州に限られるものの、州ごとに異なる包装を製造するコストを避けるため、他州でも同様の成分表示が広がる可能性が高い。生理用品の成分表示を義務付けた2019年の州法では、施行後に全米的な表示拡大が起きており、今回も同様の展開が予想される。
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