ストーリーテリングの極意
――桂三輝(サンシャイン)の衝撃――
Katsura Sunshine Takes the World
巽 孝之
(慶應義塾ニューヨーク学院第 10代学院長)
桂三輝のパフォーマンスを初めて見たのは、2024年9月のことだ。それから1年、彼のパフォーマンスに何度か接して、たえず刺激を受けてきた私は、昨年9月27日に、彼を慶應義塾ニューヨーク学院の講師として招聘した。少なからなぬ生徒たち、保護者たち、教職員たちが大喜びしたのは言うまでもない。生徒たちの中には東京では自ら英語落語を実践していたという強者もおり、質疑応答も大いに深まったものである。

英語落語というジャンルが存在するのを知ったのは、最近ではない。かれこれ16年ほど前の2009年、慶應義塾大学文学部英米文学専攻における私のアメリカ文学ゼミに入ってきた学部3年生で自ら落語研究会(オチケン)に所属する女子学生が「卒論には英語落語をやりたい」と宣言し、度肝を抜かれた瞬間にさかのぼる。何も知らない私は、即座に「そんなばかな」と思ったものだ。しかし彼女が初心を忘れず2年間かけて仕上げ、2011年1月末に無事提出された達意の英文による卒論は、21世紀に入ってから英語落語がいかに隆盛を極めているか、その特徴と魅力はどこにあるのかを、しっかりと論じていた。そしてまさに2011年といったら、名匠・桂三枝の下での修業を終えたカナダ人が桂三輝の名でバリバリ活躍し始めた年に当たる。最初に「英語落語」と耳にして「そんなばかな」と思ってしまった私は、かれこれ100年以上も前に、慶應義塾を卒業した国際的詩人ヨネ・ノグチ(野口米次郎)が英米モダニズム詩人に俳句の魅力を教え、やがて英語俳句が流通し始めた時に多くの日本人が覚えたであろう違和感というか先入観を愚直に反復していたのだろう。
いやはや「何も知らない」ということは恐ろしい。福沢諭吉先生の名言「半学半教」は学びつつ教える、教えつつ学ぶという双方向関係が学生と教師の間に成立しており、それは現在でも慶應義塾流教育の根幹を成すが、まさにこのケースにおいて、私は教え子から学ぶばかりだったのである。ちなみにこの時の女子学生は現在、蛙田アメコのペンネームで作家として大成。2019年に発表した「女だから、とパーティを追放されたので伝説の魔女と最強タッグを組みました」を皮切りに、百合ヒロイックファンタジーとでも呼べる小説を開拓し、のきなみベストセラーを放ち、既に何冊も英訳されている。
つまり、落語には全てのストーリーテリングの極意が詰まっているのではなかろうか。マクラからオチへ至る短いプロセスの展開に、人間がなぜ物語を語るか、その秘密の全てが凝縮されているのである。以前、あれはニュージャージー日本人学校の学芸会に出席した時のことであったか、小学生たちがテレビジャパンのプログラムに入っている人気番組「笑点」をまるまるパロディ化していて、いたく感銘を受けたものだった。末恐ろしい限りだ。
以下、桂三輝公演を目の当たりにした生徒たちの思いを、どうか満喫していただきたい。
バイリンガル落語の魅力
最首 凜音(さいしゅ りの/Rino Saishu)12年
落語という古典芸能については小学生の頃に学んだものの、普段落語というものが身近な存在ではなかったので今回の桂三輝さんの講演が新鮮で興味深かった。桂さんが「幸せなら手を叩こう」というみんなが知っている歌で説明をしてくださったり、日本語と英語を交互に使ってくださったりして、分かりやすかった。その中で印象に残った点がいくつかある。
まず、言語の壁を感じなかったことだ。講演は日本語を混じえつつ、そのベースは英語で行われた。しかし、日本語と英語の違いについて説明するときなど、聞きやすかった。日本語では丁寧な態度を示す際、長い言葉を使うほど丁寧な表現の仕方になるが、英語はどんな丁寧なことでも一言で表せる。そのような説明をする際、敬語の例を早口で挙げてみせたり、オチをつけながら話してみせたりするので、興味をそそられた。また、弟子の月輝さんが落語を披露した際、全編英語だったにもかかわらず分かりやすく、落語は言語の違い関係なく楽しむことができるものだと感じた。
次に、文化の違いについてである。三輝さんはカナダ出身だが、ニューヨークと東京を拠点に活動している落語家だ。落語というものは日本人にしかなじみのないものだと思い込んでいたが、実際には海外でも幅広い年齢層に人気があることを知って驚いた。中でも日本の文化だけではなく、アメリカの文化と比較しながら噺を進めていることが面白かった。例えば、日本では時間厳守が文化だが、アメリカでは遅れて始まるのが普通だということを、笑いを交えて語っておられた。
さらに、今後もインドやアメリカのさまざまな地域で落語の公演を予定していると聞き、改めて落語は日本だけの伝統芸能ではなく、世界中の人が楽しめる「笑いの文化」なのだと実感した。ぜひ、桂三輝さんの公演を実際に観に行きたい。
国境を越える落語家
柿下聡香(かきした さとか/Satoka Kakishita)11年
ニューヨークを拠点に世界各地で活躍する落語家、桂三輝さんの高座を拝見する機会に恵まれた。日本の伝統芸能である落語を、外国人が、しかも英語で表現できるのだろうか。半信半疑の思いを抱いていたが、その語り口に触れた瞬間、疑念は吹き飛び、一気に桂三輝ワールドへ引き込まれた。言葉の壁を軽やかに越え、笑いの渦を生み出す姿は、まさに「世界に通じる落語家」そのものだった。
演目は日本の風物や習慣を題材とした噺である。日本独特の所作や四季、食文化、人間模様など、日本人にとっては当たり前の風景が、彼のユーモラスな視点を通すと鮮やかかつ立体的に浮かび上がる。海外の観客にとっては新鮮な発見、日本人にとっては懐かしい再確認。英語を主体にしながら日本語特有のリズムを巧みに織り込み、笑いを引き出す工夫は実に見事だった。
外国人でありながら日本の落語界で修業を積んだ彼だからこそ、異文化の狭間を自在に行き来し、母語を問わず観客に落語の楽しさを届けることができる。落語を単なる伝統芸能に留めず現代に生きるグローバルな表現へと更新している証でもあると感じた。
桂三輝さんの落語は、日本人にとっては自国文化を新鮮に映す鏡であり、海外の人々にとっては日本理解の入り口となる。笑いを介して文化の壁を超えることを、これほど鮮やかに示す舞台を、私は他に知らない。世界を舞台に、今後も太陽のように明るく、温かい笑いを届けてくれるだろう。サンシャインだけに。おあとがよろしいようで。
笑いで世界を結ぶ!?落語の魔法
呉屋 瞳(ごや ひとみ/Hitomi Goya)10年
「落語」と聞いて、思わずあくびが出そうになった人がいるなら、正直に手を挙げてほしい。着物を着たおじさんが長々と昔話を語るーー私も以前は、そのようなイメージしかもっていなかった。しかし、今回のオムニバス公演で、退屈だと思っていた印象を一瞬で覆す落語家に出会った。その人こそが、桂サンシャインさんだ。
桂サンシャインさんの落語の魅力は、何と言っても英語と日本語を交えたスタイルだ。英語で噺の背景を分かりやすく説明しつつ、日本語の言葉遊びを交えながら観客を笑わせるため、落語や日本語になじみのない人でも楽しむことができる。
私が特に印象的だったのは、日本人の「謙遜」を題材にした噺だ。日本では相手の年齢を実際より若く言って気遣うことがあるが、彼はその習慣をユニークに表現し、場を笑いで盛り上げていた。私は日本と異なる文化を持つ海外ならではの視点に新鮮さを覚え、普段は当たり前と思っていた言葉や振る舞いが、他の国から見れば面白いものになるのだと気づかされた。
今回の体験を通して、私は落語が世界に誇れるエンターテインメントであることを強く実感した。落語はただの笑い話ではなく、人々の心をつなぎ、国や言語の違いを越えて理解し合えるようにする力をもっている。実際、言葉の壁すら笑いに変えてしまう落語は、まさに異なる文化同士を結ぶ架け橋だ。文化の違いにぶつかったとしても、笑いや物語を分かち合えば心が通じ合うーーそのことを桂サンシャインさんの落語が教えてくれた。この体験は、きっと私の心に温かく残り続けるだろう。
文化をいかに伝えるか
森谷 綾音(もりたに あやね/Ayane Moritani)9年
慶應義塾ニューヨーク学院で行われたオムニバスレクチャー第1回講演に、落語家の桂サンシャインさんがいらっしゃいました。桂サンシャインさんは、カナダ出身でありながら日本語と英語の両方を交えて落語を演じる、世界的にも珍しい落語家として知られています。今回の講演では、日本語と英語における言語の違いや、日本の落語を海外へ伝える立場としての考え方について、お話しくださいました。
落語は江戸時代から続く日本の伝統芸能であり、一人の話し手が扇子や手ぬぐいなどの小道具を使い分け、複数の登場人物を演じるのが特徴です。桂サンシャインさんは、日本の礼儀を重んじる文化や、ご自身が講演を行う際に挨拶を大切にしていることについてもお話しされました。また、日本では時間をきちんと守る文化が根づいている一方で、アメリカのブロードウェイで公演を行う際には、必ずと言っていいほど遅延があるという文化の違いも紹介されました。その話を聞いて、同じ舞台芸術でも、国によって大切にされている価値観や考え方が異なることに改めて気づかされました。
この講演を通じて、私は日本文化を海外に発信することの難しさと同時に、他者との違いを理解し尊重することの大切さを学びました。特にサンシャインさんの言葉から、文化を伝えることは一方的に教えるのではなく、聞き手との意思疎通や共感を通してこそ本当の理解が生まれるのだと感じました。これからの学習や生活の中でも、相手の立場を考えながら、日本文化を正しく、そして魅力的に伝えられるよう努力していきたいと思いました。
笑いの架け橋
北村穣士(きたむら じょうじ/KITAMURA Johji)10年
英語落語は「世界と日本をつなぐ笑いの架け橋」だーー桂サンシャインさんと桂ムーンライトさんが慶應義塾ニューヨーク学院のTriculture講演会で巻き起こした爆笑と喝采を目の当たりにして、私は改めてそう実感した。私自身も「鹿鳴屋じょうじ」として日本で英語落語を習い、来米前に浅草文化センターや浅草公会堂で寄席に出演し、笑いと拍手をもらった経験があるからだ。面白いなと思ったのは、ニューヨークでは外国人の桂さんが話し手で、日本人の生徒が聞き手、浅草では日本人の私が話し手で、外国人の観光客が聞き手、と立場が逆転しても、起こる笑いは同じということだ。英語落語は本当に笑いを橋渡しできるツールなのだ。

この日本が誇る極上エンターテインメントには、実は笑いを引き出すための細かい話芸のルールがある。例えば、話し手は常に目上の者が「上手(右)」、目下の者が「下手(左)」にいると想定して一人で何役も演じ分ける。座ったまま首の向きと目線だけで演じるのはけっこう難しいのだが、上下関係の“しんどさ”は世界共通らしく、面白みがよく伝わる。桂ムーンライトさんが演じた「ZOO」での無理難題を突きつける動物園経営者と、しぶしぶ引き受けるアルバイトなどだ。また、道具は扇子と手ぬぐいだけと決まっていて、前者は箸や筆などに見立て、後者はメモや財布などに見立てる。この日本独自の「見立て」の手法も世界中で受けている。他にも話芸の秘訣はたくさんあるが…。
こんなユニバーサルな話芸を400年前の江戸時代に築いた日本人は天才だ。そもそも言葉が発達する以前の太古から「笑い」は友好の気持ちを示す原始的なコミュニケーションツールだったらしい。ということは、英語落語で聞き手の笑いを世界中で引き出せれば「国際交流」に大いに役立つにちがいない。私はこの日本が誇るエンタメがこれからも世界中で愛されるように願っているし、尊敬する桂サンシャインさんにサインしてもらった著書を参考に、私自身でも広めていきたい。今後も慶應義塾ニューヨーク学院で日米慶應のTricultureを積極的に学び、自分ならではの国際交流の技を磨いていきたい。
落語欲の幸せ
古澤 春(ふるさわ はる/Haru Fususawa) 11年
私は落語鑑賞が趣味だ。日本への帰国中は寄席に行き、海外にいる間は、動画などを見漁って落語欲を満たしている。そのため、今回の講演でニューヨークにいながら落語を生で鑑賞できたことは、私にとっては夢のような時間だった。また、学校のホールが一瞬で寄席になり、全員で笑いを共有する空間にいられたのはとても貴重な経験だった。英語での落語体験は初めてだったが、言語の関係なく大笑いでき、落語の普遍性を改めて感じることができた。私は落語の面白さは日本語によるものだと考えていたが、英語でも面白さは全く変わらず、常に笑いが止まらず(お腹が)苦しかった。また、桂三輝さんがブロードウェイでもネパールなどの他の国でも、日本の伝統的な噺を変えずに落語を演じていることにも驚いた。
日本では、落語は伝統的だという理由で敬遠されているが、時代も国境をも超えて人を幸せにする落語が日本でもさらに広がることを願う。私の周りは、落語を一度聞いたことがない人も多く、最初は桂三輝さんのパワーに飲まれているようにも感じたが、講演が終わるころには、全員が腹を抱えながら笑い、会場が幸せに包まれているようだった。桂三輝さんの落語の素晴らしさはもちろんだが、同じ話で大笑いする空間を共有できる幸せを実感した。落語は日本の伝統的な文化でだが、笑いに国境はないことに気付かされた。次はぜひブロードウェイで落語を聞いてみたい。

日本語の難しさと面白さ
森 萊人(もり らいと/Raito Mori)12年
僕はその日、初めて落語に触れました。これまで日本文化について深く考えたことはなかったのですが、第1回のオムニバス公演で、カナダ人落語家である桂サンシャインさんの落語が聞けると知り、観に行きました。
講演が始まるまでの間で落語とはどんなものかと考えていたのですが、いざ講演が始まると、思っていたよりスピードが速くて驚きました。桂さんが日本の文化と海外の文化を交えて話す中で、観客が笑っている声が聞こえ、9年生の授業で学んだ能楽とは全くの別物だと分かりました。9年生で習った能は主に観客の静かさを大事にしていました。しかし今回の講演のテーマである落語では、観客に話しかけ多少冗談などを入れることを重要視していました。個人的には能などの静かな雰囲気よりも、落語のような、にぎやかで観客も笑えるような内容の方が聞いていて楽しいと感じました。また講演中の噺では、想像していた噺の終わり方と真逆の終わり方をしていて、日本語の表現が豊かで聞いていて分かりやすいと思いました。
講演が進むに連れて桂さんは、自身の日本での経験や苦労を話し始めました。その中で、日本語そのものについて話しており、桂さんは「日本語は謙譲語や敬語があって難しい」と言っていました。僕も海外生活の方が長いので、日本語の読み書きや話し方の難しさを日々感じています。日本語もそうでしたが、桂さんは「日本人はなんでも短くしたがる」と講演で話していました。確かに、日々友達と会話をしていると、自分自身も話している言葉を突然短くしたりしているので、共感しました。
今回のオムニバス、落語家桂サンシャインさんの講演を経て僕は、面白い噺の作り方や日本語の表現の深さについて知りました。生まれた場所に関係なく、勉強を重ねることで、言語力は伸ばせるのだと改めて感じました。僕も文章を書いたり、勉強をたくさんしたりして、自分の日本語力を高めたいです。
なぜ英語で落語をするのか?
石原 瑚子(いしはら ここ/Coco Ishihara)12年
「落語って何?」そう友人に尋ねられたとき、うまく返す言葉が見つからなかった。落語は何度か観たことがある。しかし、個人的に知っているのは、いちまーい、にまーいで有名な「お菊の皿」と、長すぎる名前で有名な「寿限無」くらいだろうか。落語とは何かと調べてみると、一人の演者が物語を展開し、最後にオチで締めくくる日本の伝統芸能だと定義される。ただし今回は、英語落語だ。初めて観るし、そもそも英語で落語をやるなんて聞いたことがなかった。しかし今回の講演を聞いて、日本伝統の魅力と、英語落語だからこその新たな可能性を感じた。
まず大前提として、桂さんは日本語がペラペラである。私はそこに一番驚いた。なぜなら、日本語が話せるのであれば、日本語で落語をしようとなるのが通常なのではないかと感じたからだ。気になったので、お弟子さんに「桂さんは日本語がペラペラなのに、なぜ英語で落語をするんですか?」と聞いてみることにした。すると、「英語ですることによって、より多くの人に落語を届けられる。師匠は世界中に落語の魅力を伝えたいんだよ」と教えてくれた。お弟子さんは、落語の存在に誇りをもっていて、それがすごく輝いて見えた。日本には素晴らしい伝統芸能がいくつもある。それを英語で語ることによって、日本の伝統芸能や、日本そのものに興味を持つ人が増える可能性が高い。英語落語は、日本の伝統を途絶えさせないだけでなく、伝統を世界へと轟かせる鍵になるかもしれない。そう感じた公演だった。

サンシャインからムーンライトへ
Chie Ma / 馬 千惠(ま ちえ)12年
桂サンシャインさんはカナダ出身の落語家で、上方落語という関西の落語形式に準じています。日常的なユーモアをテーマにした噺で人を楽しませてくれます。そして、彼の噺は英語で演出されることもあって、外国人にも日本の文化を理解できるようになっています。師匠は桂三枝で、師匠からは「桂」という苗字と「三輝」(サンシャイン)という名前をもらいました。師匠と同じく、桂サンシャインさんも吉本の事務所に所属しています。
自分が今回のオムニバスで印象に残っているのは、たくさんの全く内容が異なる段落の全てが、自然につながっていたところです。そして、桂サンシャインさんの弟子の一人、桂月輝(ムーンライト)さんが「動物園」という落語を英語で披露してくれました。全く違和感がなく、オチまで英語でしっかり伝わる噺ですごいと思いました。一般的に、物語を他の言語に翻訳すると意味が通じにくくなったり、オチが弱くなったりすることが多いのですが、今回は全くそんなことがなく、最初から最後まで楽しく聞くことができました。英語でも日本の文化の面白さをしっかり伝えられることに感動し、言葉の力の大きさを改めて感じました。これからもこのように、日本の伝統を世界に伝える人が増えてほしいと思いました。私も自分の言葉で、人を笑顔にできるような表現をしてみたいです。
今回の落語を通して、言葉や文化が違っても笑いや感動を共有できることの素晴らしさを感じました。桂サンシャインさんは、日本の伝統である落語を外国の人にも分かりやすく伝え、楽しませていました。その姿を見て、落語の魅力は言葉だけでなく、人の心や想いで伝わるものだと感じました。また、お弟子さんの英語落語もとても自然で、どの国の人でも笑える内容になっていて感動しました。私もこれからは、文化や言葉の違いを超えて、人と心を通わせられるような表現をしてみたいと思いました。
異国感、違和感、そして
Haruhi Kuroda / 黒田 遥朝(くろだ はるひ)12年
私が初めて見た落語は、イベントの落語だった。小さい頃だったので演目などは忘れたが、扇子と手ぬぐいだけで表現される無限の世界に心底感心したのを覚えている。すごく昔なのに、現代を生きる幼い自分ですら理解できて、笑顔にしてしまう落語に感動した。それまで、落語といえば大人の笑いで、少し近づき難いものだとばかり思い込んでいた。しかし実際には、日常的に見るテレビのコントと何ら変わりがない。幼い頃の記憶で多くは覚えていないし、落語にハマることもなかったが。ただ、心が驚いたのは覚えている。
今回の桂サンシャインさんの講演を見て、落語の感動を再確認することができた。幼い自分がもらった、きらめきは正しかったのだと安心することができたのだ。
それに加えて、彼の講演には、今の自分を肯定するものがあった。今、自分はニューヨークという異国の地にいる。3年間という短い時間だったが、まだ自分の中で異国感は抜けなかったのだ。そのため、どこか疎外感を覚えていたのだと思う。しかし、彼の講演で「異国であるからこそ、壁を超えることができる」と思ったのだ。異国感というのは、悪いものではないと気付かされた。彼の落語には、日本の落語にはないギャップがある。そこに刺激がある。いい意味の「違和感」があったのだ。私はその「違和感」に新鮮さと刺激をもらった。
自分にとっての「異国感」というのは、ポジティブに考えればいい「違和感」で、刺激ではないのだろうか。そう考えることができたのだ。
今回、私は彼の落語から、過去の自分と今の自分を肯定できた。これからの人生では、たくさんの「違和感」に遭遇するだろうが、彼のように刺激的な落語に出会えたら、自分を肯定することができると思う。

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