2026年5月27日 NY de Volunteer COLUMN

『NYで見つけた、私にできること〜NY de Volunteer』(12)想定外を乗り越えたNY de Volunteer 流支え合いの輪

ちょっとした「やってみよう」が、人と人をつなげ、地域を支えているニューヨーク。ボランティア活動でのリアルな声や、心動く瞬間をNY de Volunteer がお届けします。

私たちNY de Volunteer は、社会課題の解決に向けて自ら考え行動する「チェンジメーカー」を育てることを目的に、2003年からニューヨークで活動している非営利団体です。

NY de Volunteer は、コニーアイランドを訪れた一人の日本人女性が、あまりに汚いビーチにショックを受け、「何かできることを」と、自らの手でごみ拾いを始めたことから始まりました。連載では、活動現場での人と人との触れ合いから生まれる、さまざまなエピソードをお届けしていきます。

前回、連載第11回では、神奈川県立横浜翠嵐高校の生徒たちと現地ボランティアが、アメリカ自然史博物館で過ごした熱気あふれる一日の様子をお伝えしました。今回は、その舞台裏で私たちが直面した挑戦と、それを支えてくれた「人とのつながり」についてお話ししたいと思います。

ボランティア集めの難しさ

ニューヨークでボランティアを集めるのは簡単なことではありません。過去には現地の学生を対象としたプログラムで、コミュニケーションの行き違いや文化的背景の違いから、いわゆる“ドタキャン”が発生することが少なくありませんでした。人数不足で当日にイベント内容を一部見直すこともありました。

今回、日本からやって来る高校生は20人。「せっかくの異文化交流、全員に英語で話す機会を作ってあげたい」という強い想いから、私たちは高校生と同人数程度のボランティアを募ることにしました。当日まで確実な人数が読めない不安の中、欠員を考慮して多めに募集をしました。

結果として当初の目標を上回る26人が集まってくれました。この数字の背景には、NY de Volunteer が長年、コロンビア大学やニューヨーク大学(NYU)をはじめとする現地大学との間に築いてきた信頼の礎がありました。

その中でも、今回の協力につながった大きなきっかけは、昨年、バルーク大学で初めて実施した「やさしい日本語」を用いた会話ボランティアのイベントでした(その時の様子はこちら)。この取り組みを通じて同大学との間にもご縁が生まれ、今回イベントを開催するにあたり、バルーク大学やフォーダム大学の諸先生方が、授業内でボランティア募集を呼びかけ、全面的に協力してくださったのです。さらに、NY de Volunteer が協力しているニューヨーク公共図書館の日本語クラスからも、多くの社会人が駆けつけてくれました(詳しくはこちら)。「外国語学習」という共通の関心を持つ彼ら自身もその難しさを知っているからこそ、高校生のたどたどしさの残る英語にも真摯に耳を傾け、心を通わせることができたのです。

寒い中、朝早くから集まってくれたボランティア


トラブルさえも「サバイバルスキル」に変えて

イベント当日、ニューヨークらしい「洗礼」が私たちを襲いました。南北を結ぶ地下鉄が大幅に遅延し、多くのボランティアが足止めを食らってしまったのです 。ここで光ったのが、運営スタッフのチームワークでした。ボランティアの到着状況をリアルタイムで把握し、もともと用意していたグループ割をその場で臨機応変に変更。遅れているメンバーがいても定刻通りに開始できるよう、高校生とボランティアの人数バランスがなるべく偏らないグループを柔軟に編成しました。

ボランティアたちも主体的に連絡をくれ、少しでも間に合うように走って会場へ向かってくれました。私たち運営スタッフも、こうした想定外の事態に臨機応変に対応する中で「NYのサバイバルスキル」を磨いています。

高校生とボランティアの会話をより生まれやすくするため、各グループは高校生2人に対しボランティア3人の計5人程度で編成しました。運営スタッフが事前に作成した「展示解説スクリプト」も大活躍。 ティラノサウルスやアフリカ象の行進といった展示を、ボランティアが英語で解説し、グループごとにスカベンジャーハントを楽しむ。その工夫が功を奏し、会場には終始笑顔があふれていました。

スタッフがアメリカ自然史博物館で遭遇したグループ


互いに刺激し合う「生の交流」

ボランティアとして参加した大学生や社会人からも、温かい感想をいただきました。

「一生懸命に英語を話す高校生の姿に、自分も勇気をもらった」 「発音も綺麗でボキャブラリーも豊富。彼らの英語力の高さに驚いた!」「自分の学生時代を思い出した。とても可愛らしかった」

平日の昼間ということもあり、テストや仕事のため早退を予定していた人もいましたが、最終的には想定よりも多くのボランティアが、高校生たちが博物館を出る最後の瞬間まで名残惜しそうに見送ってくれました。彼らにとっても、この時間は単なるボランティアではなく、それ以上の「心の交流」という価値があったのだと、私たちスタッフも胸が熱くなりました。

スクリプトを片手に高校生に展示を解説


多彩な個性がつながる場所

NY de Volunteer の運営メンバーは、永住者や駐在員など、在米歴も職歴もさまざまです。地道な働きかけで現地の信頼を築いてきた人、現場を力強くまとめる人、分かりやすい資料やマニュアルを作る人、細やかな心配りができる人。 それぞれ得意分野は違いますが、共通して根底にあるのは「誰かのために」という想いです。この多様なメンバーがそろっているからこそ、日本から来た高校生とニューヨークのボランティアという二つの世界をつなぐ「架け橋」になれたのだと感じています。

今回の成功は、これまでのメンバーが一人一人積み上げてきた各団体との信頼関係が大きな実を結んだ結果です。 私たちの想いが大学や図書館、そしてニューヨークの若者たちへと広がり、助け合いの輪となった特別な一日でした。

当日携わった運営スタッフ

文/Misaki(NY de Volunteer 運営スタッフ)

運営スタッフ募集

NY de Volunteer

市民の社会参加やボランティア活動を推進し、グローバルリーダーの育成を通じて、社会課題の解決に向けて自発的に考え、行動する「チェンジメーカー」を社会に送り出すことを目的に、2003年から活動する非営利法人。公式SNSでは、ニューヨークでのボランティア活動の魅力や、イベント情報を配信中。フォロー&いいね!をお待ちしています。

instagram:https://www.instagram.com/nydevolunteer/

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