FIFAワールドカップ2026が7月19日、スペイン代表の優勝で終わった。ニューヨークタイムズが同21日、現時点で判明している経済効果について伝えた。

実績は期待に及ばず?
ニューヨーク・ニュージャージー大会は、ニュージャージー州のメット・ライフ・スタジアムで8試合を開催、64万人超を動員した。開催委員会は当初、来訪者120万人、経済活動33億ドルを見込んだ。最初の5試合だけで来訪者の直接支出は12億ドル、経済効果は21億ドルに達したとするが、専門家からは予測が過大との声も上がっている。最終集計はまだ出ていない。
ホテルと観光業界は?
ニューヨーク市ホテル協会によると、大会期間中、ニューヨーク市のホテルは前年同期と比較して1億~1億5000万ドルの追加収益を見込んでいた。しかし、これは同協会が予測していた2億5000万~3億ドルを大きく下回る数字だった。
一方、6月8日~7月4日の客室収入は市内で21%増、ミッドハドソンおよびハドソンバレー地域では18%、ロングアイランドでは24%の増加となった。ニュージャージー州経済開発局によると、同州のホテルでは、大会期間中の収益が前年同期比で4000万ドル以上増加した。エアーB&Bなどの短期賃貸需要は、規制が厳しいニューヨーク市で決勝前まで最大8%減ったが、ニュージャージー州のジャージーシティーとニューアークでは最大24%増、決勝時は37%増えた。
タイムズ・スクエア・アライアンスによると、6月中旬から7月中旬にかけて、1日平均25万4400人の歩行者が訪れ、前年同期比で7%増となった。1日当たりの最多記録は30万5300人だった。ただし、土産物店や一般観光には期待ほどの恩恵がなかった。8番街と西38丁目の角でギフトショップを経営するMD・マスムさんは、6月のニューヨーク・ニックス優勝は商売にとって大きな追い風となったものの、「ワールドカップ関連のお土産は売れていない」と話した。
飲食店に追い風
観戦会を開いたバーやレストランは活況で、ニューヨーク・ニュージャージ州の店内ビール販売は14%増加した。ただしスタジアム周辺でも明暗が分かれ、交通混雑の警告を受けて常連客が遠のき、試合日に売り上げが40%落ちた店もあった。
功罪あった交通
ニュージャージトランジット(NJT)は1試合当たり2万2000~2万6000人、計約18万5000枚を輸送。運行はおおむね円滑だったが、往復運賃を約13ドルから98ドルへ上げたことに批判が集中した。利用者は想定を下回り、車の増加で渋滞も発生。試合日にペンステーションの一部が一般客向けに閉鎖され、通勤者への影響も出た。Citi Bikeは6月に過去最多の約550万回、Uberは8試合で4万2000回利用された。
公費負担に疑問
ニューヨーク市警察(NYPD)の6月の残業代は前年の9600万ドルから1億3800万ドルへ増えた一方、ワールドカップによる追加売上税収は2600万~4400万ドルと試算。
日本人コミュニティーへの影響は?
ニューヨーク市および近郊に住む日本人を含む一般市民にとっては、ペンステーションの利用制限やニュージャージートランジットの遅延、スタジアム周辺の渋滞、高額な臨時運賃などが生活面に影響するなどネガティブな面があったことは否めない。
一方、飲食店でのウオッチパーティーや市内の交流イベントは、日本人を含む各国出身者が交流する機会となった。日本人経営の飲食・観光関連事業者も恩恵を受けた可能性があるが、具体的な事例やデータは示されていない。
いずれにしろ経済効果の精査はこれからだが、各国の移民コミュニティーが一体となる「文化的効果は大きかった」と言えるだろう。
















