ニューヨーク市議会は、電動自転車(Eバイク)や電動スクーターの安全性を高め、違法車両の取り締まりを強化するための17の包括的な規制法案を今秋に審議する方針を固めた。近年、死亡事故が相次ぎ、住民の安全確保が急務となっていた。ニューヨークタイムズが8月4日、伝えた。

フードデリバリーではEバイクを使うことが圧倒的に多い。娯楽目的の電動スクーターに乗る人も増えた(8月3日、ブルックリン・パークスロープ / photo: 本紙)

高速Eバイク販売禁止や登録義務化など

関係者によると、法案には現行法で合法とされている高速Eバイクの販売禁止や、フードデリバリー企業への商業ライセンス登録義務化などが盛り込まれている。さらに、配達員の走行データ共有、無登録モペッド(原動機付自転車)の削減、事故現場から逃走したライダーへの厳罰化なども検討されている。フードデリバリー・アプリに対する追加保険の義務付けや、時速15マイルの制限速度を大幅に超える違法車両の取り締まり強化、安全な車両への買い替えを促す下取りプログラムの導入も含まれている。

マイノリティーや移民に負担増

一方で、ライセンス登録やナンバープレートの義務化には、手続きの煩雑さやコストの他、主に黒人やラテン系、移民など約8万人の配達員への過剰な取り締まりにつながるとの懸念から反対意見も根強い。マムダニ市長は、軽微な交通違反に対する刑事取り締まりを中止し、インフラ整備による安全性向上や、違法車両の押収や店舗への警告を行っているが、オンライン販売の取り締まりに苦慮している。市議会は9月30日に公聴会を開き、本格的な議論をスタートさせる。

死亡事故には高速車両が関与

ニューヨーク市警察(NYPD)のデータでは、今年7月第3週までにEバイクと電動スクーターが絡む衝突事故が計1355件発生し、前年同期比で28%増加。今年だけで少なくとも20人が死亡している。

5月にクイーンズボロ橋で発生した事故で2人の男性が死亡したが、そのうちの1人は、時速53マイルに達する違法な「Teverun Blade」というスタンドアップ型電動スクーターに乗っていた。また、5月にブルックリンで死亡した男性は、時速55マイルまで走行可能な「Cleytro」という電動スクーターに乗っていた。

合法なEバイクとは?

ニューヨーク市内では最高時速20マイル(約32キロメートル)未満のペダルアシスト型やスロットル型、および100ポンド(約45キロ)未満のスタンドアップ型スクーターのみが合法。

違法なEバイクとは?

モーター出力750ワット超、または時速25マイル(約40キロメートル)以上を出せる車両は原則禁止。また、利用者は16歳以上であること、歩道走行の禁止、時速15マイル(約24キロメートル)の制限速度の遵守、自転車レーンの使用などが義務付けられている。