日本空手協会 JKA Karate Shiroma NY 

クイーンズ区ロングアイランドシティにある空手教室、日本空手協会のニューヨーク教室。ここでは、日本が生んだかけがえのない武道文化である空手を伝え、発展させることを責務として指導を行っている。

日本が生んだ武道、空手を伝承

日本戦前における空手の大家の一人と言われる人物で、沖縄県出身の、喜屋武朝徳(きゃん ちょうとく)が残した言葉、「長年修行をして体得した空手の技が、生涯を通して役に立たなければ(空手の稽古以外で一度も使用しなければ)、空手修行の目的が達せられたと心得よ」。これは、稽古を重ねるごとにどんどん蹴りや突きの力が強くなり、急所を狙う精度やスピードが上がっても、空手の技は決して使ってはいけないということ。術を得た人が、普通の人、ましてや相手が空手家であったとしても、喧嘩をしたら大けがをする危険性が高いからだ。
日本空手協会のニューヨーク教室の指導者、城間勇美先生は「空手を格闘技だと思っている人は、力で相手を負かそうとするが、ここで教えている空手は〝スポーツ空手〟ではなく、武術。直接打撃せずに寸前で止めて技を決め、勝敗を争うもの」だという。また、力があっても相手を痛めつけてはいけないため「自分の力を封印しなければならない」という強い精神力が必要とされるので、精神力を養うことを目的に空手を習う人もいる。
城間先生は、喜屋武と同じ沖縄生まれ。日本空手協会の空手家として、また日本の伝統武道である空手道の普及と発展を目指して創設された米国公益法人、北米空手道師範会の一員として、米国をはじめ、中南米のコロンビア、ブラジルでも数十年にわたり空手を指導している。

すべてに手を抜かずに取り組む

 クラスが始まる10分前、道着を着た5歳前後の子どもから学生、大人までの生徒たち全員が、床の雑巾がけを始める。大人が「遊んでいないで、もっときれいにちゃんと掃除をしなさい」と、子どもを注意。掃除にも真剣に取り組む、ここからすでに稽古は始まっている。

真剣に稽古に励む生徒たち


 城間先生が教室に入ってくると、日本と米国の国旗が掲げられた窓に向き一直線に並び、正座をして、うやうやしく挨拶。そして「黙想」と号令がかかると皆が目をつぶる、これは呼吸を整え、前回の稽古で注意されたことを思い出し、今日の目標を心に決め、精神を落ち着かせる時間だという。
 最初の稽古は、突きや蹴りを行ない、左右交互にバランスを取りながら、合理的な体の動かし方を覚えるなど空手の基本を学ぶ「基本稽古」から開始。先生の号令に合わせて、大きな声で「気合い」と言いながら、精神からも気合いを出し、すべての動きに手を抜かずに取り組む。
 次に基本稽古を応用した練習法の「移動稽古」をする。基本稽古で習得した技を移動しながら繰り出し、突きや蹴りの連携やバランスを覚える。棒立ちにならないよう、頭の高さを一定に保つように前進するのがポイントだ。その後、さらに3連続の技を前進しながら行う「三本組手」などの他の稽古へと続く。日常の動きではあまり使われることのない筋肉が十分に活用されるため、幼少期の子どもには理想的な全身運動となり、バランスの取れた身体の発育を促す。城間先生は「すべての練習をバランス良く行うことは大切だが、基本稽古が一番重要」と語る。
 稽古の終了時にも始めと同じく黙想を行い、自分の中で今日の稽古を振り返り反省をする。

大人と子ども、2人一組になっての稽古もある

精神力を磨ける、伝統教育

 このクラスの対象年齢は5歳前後からで、空手は生涯ずっと続けられるという。親子で通っている米国人も多くおり、親に空手の魅力を聞くと「稽古を続ければ続けるほど、空手に魅了されていく。精神力が養われていく感覚がとても好きだ」「子どもの教育にも最適だと感じている」と笑顔で語った。
 日本の伝統の中で育まれた空手という武術は、技の練磨を通して心を磨くことを目指している。身体を鍛えると共に礼節や伝統を尊重する態度を養うことを通して、礼儀、勇気、忍耐力、内省、協調性、思いやりなどの社会的能力や高い道徳心を養う豊かな人間教育に効果的であるという。
 長年の空手の指導経験をふまえながら、さまざまなことを教えてくれる城間先生の元へ、まずは気軽に足を運んでみよう。

城間先生を囲んで


日本空手協会 JKA Karate Shiroma NY

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