リーマンと違って政府、中央銀行が助けてくれる
現在のところ、FRBも日銀も、空前絶後の金融緩和を続けている。その結果、マネーストック(通貨供給量)は増え続けている。日本のマネーストックの伸び率は、史上最高を記録し続けている。日銀の黒田東彦総裁は、コロナ禍に対して「中央銀行ができることはなんでもやる」と言い、FRBのパウエル議長にいたっては、なんと「少なくとも2022年末までゼロ金利を維持する」と表明している。
これでは、よほどのことがない限り株価は下がりようがない。
リーマンショックは、不良債権の増加が引き起こした。デリバディブが進んで金融商品が複雑になり、リスクがどこにあるかわからなくなった結果だった。そのため、政府と中央銀行は市場を救えなかった。
しかし、今回は、危機の内容がまったく違う。コロナ禍のため、政府自らが強制的なロックダウンを行い、経済活動をストップさせた。そのために、経済停滞が起こった。そして、それを回避するために、徹底した金融緩和を行った。つまりおカネを刷りまくって市場に供給している。
バブルは格言通り「幸福感のなかで消えていく」
このことは、投資家から見ると、中央銀行がおカネを刷り続けてくれる。いくらでも刷ってくれる。コロナ禍が続く限り、政府と中央銀行が助けてくれるのだから、安心して株を買えるとなる。まさに、実体経済などどうでもいい「コロナバブル」が起こっているわけだ。
となると、このバブルはやがて終わる。しかし、それがいつかはわからない。よって、それがわかるまでは株は売ってはいけないとなる。少なくともコロナ禍が収束に向かい、中央銀行が金融緩和を止める兆しがなければ、買い続けていい。安心して持っているべきだとなる。
つまり、投資家にとっては、コロナ禍が収束しないほうがいいわけだ。
そこで、私は思う。本当にこんな見方でいいのだろうかと——。どうも腑に落ちないのは、なぜなのかと——。
よく言われる「格言」がある。
「相場は悲観のなかに生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観のなかで成熟し、幸福感のなかで消えていく」(テンプルトンの言葉)。この格言だけは、永遠の真理と思いたいが、どうだろうか。
(了)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
【読者のみなさまへ】本メルマガに対する問い合わせ、ご意見、ご要望は、私のaまでお寄せください。 → junpay0801@gmail.com
最新のニュース一覧はこちら
RECOMMENDED
-

客室乗務員が教える「本当に快適な座席」とは? プロが選ぶベストシートの理由
-

NYの「1日の生活費」が桁違い、普通に過ごして7万円…ローカル住人が検証
-

ベテラン客室乗務員が教える「機内での迷惑行為」、食事サービス中のヘッドホンにも注意?
-

パスポートは必ず手元に、飛行機の旅で「意外と多い落とし穴」をチェック
-

日本帰省マストバイ!NY在住者が選んだ「食品土産まとめ」、ご当地&調味料が人気
-

機内配布のブランケットは不衛生かも…キレイなものとの「見分け方」は? 客室乗務員はマイ毛布持参をおすすめ
-

白づくめの4000人がNYに集結、世界を席巻する「謎のピクニック」を知ってる?
-

長距離フライト、いつトイレに行くのがベスト? 客室乗務員がすすめる最適なタイミング
-

機内Wi-Fiが最も速い航空会社はどこ? 1位は「ハワイアン航空」、JALとANAは?
-

「安い日本」はもう終わり? 外国人観光客に迫る値上げラッシュ、テーマパークや富士山まで








