NYシティ・オペラが破産申告へ 70年の歴史に幕

Daniel Reichard, Jessica Wright, Richard Kind, Kyle Pfortmiller, Lauren Worsham,April 07, 2008(c) Carol Rosegg

 ニューヨーク・シティ・オペラ(NYCO)は1日、破たん回避のための資金調達に失敗し、米連邦破産法の適用申請に向けて準備を始めたことを明らかにした。再建は断念する意向で、70年の歴史に幕を下ろすこととなる。
 伝統と歴史を誇るNYCOだが、近年は経営難に陥っており、合計700万ドルを目標として、募金サイト「キックスターター」を利用するなどして資金調達に向けた活動を行っていた。しかし、同サイトでの調達金額は約30万ドルにとどまり、調達できた資金は合計で200万ドル余りに終わった。
 NYCOはシーズンチケットの保持者らに電子メールを送信し、活動停止の決断を知らせたという。また、購入済みの公演チケットについては、可能な限り返金を行う意向を示している。
 NYCOは「多くの人にオペラを楽しんでほしい」という理念のもと1943年に創設され、若手歌手らを中心とした演目を、手ごろな価格で観客に提供してきた。
 だが、過去10年間は経営難に苦しみ、2011年には本拠地だったリンカーンセンターから撤退し、さまざまな劇場を転々としながら公演を続けていた。
 昨年はコーラスやオーケストラのメンバーを対象に80%以上の給与削減を行うなど、活動継続のための努力を続けていたが、現在公演中の演目である「アンナ・ニコル」の公演経費が130万ドルに上ったことなどから、資金繰りが追い付かない状態となっていた。