Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ 毎月第1月曜号掲載 VOL.77 椎間板ヘルニアの治療

 椎間板は靭帯よりも強く骨よりも柔らかい、椎骨の間にあるクッションのようなもので、背骨の柔軟な動きを助けます。椎間板なくしては背骨は硬い柱のように曲げることができません。

椎間板は頚椎2番から仙骨まで23個あり、それが背骨の動きを柔軟にしています。椎間板は水分をしっかりと含んだクッションのようであるべきですが、柔軟性があるがゆえに、背骨にかかるさまざまな衝撃を受けやすく、時には過度の負担やスポーツのけが、また年齢と共に傷つきやすく衰えやすい欠点があります。椎間板の一部が飛び出し神経を刺激するのが椎間板ヘルニアです。スポーツ障害は別とし、椎間板の衰えは筋力や姿勢によっても左右されますが、だいたい40代から症状が出始めます。
 ワシントン大学の整形外科に関する研究によると、これまで全く腰痛がなかった40代以上の男女を対象に腰椎のCTスキャンを撮ったところ、35%の人に椎間板の異常がみられました。危険なのは、椎間板が衰えるにつれ、少しの圧力でずれが生じて神経を圧迫し、椎間板ヘルニアになり、またその痛みが脚にまで広がることです。従来、西洋医学では、椎間板ヘルニアの治療に対しては痛み止めの服用やベッドでの休養が治療の方針でしたが、これは実際あまり効果がないといいます。痛み止めや休養で症状が治まらない場合は手術が必要ですが、椎間板の手術の成功率は低く、手術から数年が経過し、手術した箇所の上下の椎間板が侵される場合も少なくありません。根本的な原因の対処と治療がなされなければ、生涯、椎間板の症状が浮き彫りになったまま生活していくことになります。
 ダブリング・トーマス医学博士がサイエンティフィックコミュニティー誌に投稿した研究では、椎間板の問題を抱えたほとんどの患者は、たとえ手術後であろうとも、カイロプラクティックの施術を受けるべきだと主張し、カイロプラクティックを椎間板治療の最初の選択に推奨しています。確かに、手術後に痛みの改善を求めてカイロプラクティック治療に来られる患者さんは多く、ほとんどのケースで痛みが改善しています。
 20年以上もあらゆる研究が進められ、カイロプラクティック治療が椎間板の問題に対して効果的であることが証明されています。カイロプラクティック治療の施術では、主に背骨の位置を正します。この方法が、理学療法やエクササイズよりも効果がみられ、症状の改善につながるはずです。外科手術を行う前に、まずカイロプラクティック医にご相談ください。


Dr. 石谷三佳
石谷ヘルスセンター院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

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