自由選択制が人種分離助長 公立学校、居住地域関係なし

 【2日付WNYC】ニュースクール大学の教育調査機関は2日、ニューヨーク市が導入している学校選択制度が、深刻化する人種分離を助長しているとの調査報告を発表した。
 これまで人種分離は居住地域によるものとされてきたが、過去10年間のキンダーガーテン入学者約71万5000人のデータを分析したところ、低所得家庭が集中している地域に住む60%の保護者が子どもを学区外のキンダーに入学させていた。マンハッタン区ハーレムやクラウンハイツなど、アフリカ系やラテン系が多く住む地域の学区内の学校への入学率は25%未満で、白人家庭はアフリカ系やラテン系の子どもの割合が高い学校を避ける傾向にあることから、低所得層が多い地域での人種分離が顕著になっている。
 また、アフリカ系が集中している地域にチャータースクールが開校するなど、2007年度から17年度の間、同制度を利用するアフリカ系の家庭が急増し公立学校への入学者数が減少、予算が削減されるという悪循環を招いていた。
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究は、市の公立学校で見られる人種分離は「全米で最も深刻」と指摘している。