METオペラ、秋の公演を断念 推定1億ドルの損失、寄付金も募る

 メトロポリタン(MET)オペラは1日、新型コロナウイルスの影響により、この秋の公演を中止すると発表した。ニューヨークタイムズが同日、報じた。
 METオペラは外出制限により、3月11日以降公演を自粛。しかし、秋になっても再開のめどが立たないとして、新シーズンの3カ月も休演を続ける意向だ。「社会的距離を維持しながらグランドオペラは成立しない」と総支配人のピーター・ゲルブさんは指摘。「観客だけでなく、出演者や楽団員の健康にも配慮した結果だ」と話した。
 休演による損失は推定1億ドル(約108億円)。従業員は3月以降、給与の支払いを受けていない。多くは一時解雇されコロナ禍の救済措置として600ドル上乗せされた失業保険給付に頼っているが、この措置も7月末までとなる。コーラス団員は緊急救済基金を発足させた。フリーランサーのソリストやオーケストラ団員も苦境に立たされている。
 ただし、METオペラへの寄付金は潤沢。過去2カ月間で6000万ドル(約65億円)が集まっている。新たに開始した無料のストリーミング・サービスも好評で、新たに2万人から寄付があったという。
 また、2014年度トニー賞を受賞した演出家、イボ・バン・ホーべさんの新作「デッドマン・ウォーキング」の制作は引き続き進行する予定だという。
 ゲルプさんは「10代の時、案内係から始めておりMETオペラは私の一部。存続させたいという強い気持ちがある。そう思っている人は私だけではない」と意気込んでいる。

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