連載975 最有力候補ディサンティスと次期大統領選 (4) 次期アメリカ大統領はなにをすべきか? (上)
2024年11月5日の選挙で決まるアメリカの次期大統領。それまでまだ2年弱もあるというのに、すでに大統領選挙は始まったも同然になっている。
出馬宣言したトランプ前大統領の人気が衰えるなか、共和党ではロン・ディサンティス(Ronald Dion DeSantis、44歳)フロリダ州知事が頭角を現した。民主党では、バイデン現大統領が、80歳という高齢でもまだやる気だ。しかし、世代交代を望む声は強く、今後、どうなるかは予測がつかない。
しかし、誰が大統領になろうと、アメリカ大統領は国内のみならず世界全体に対して大きな責任を果たさなければならない。
次期大統領がすべき4つの課題
次期アメリカ大統領は、生半可なことでは務まらない。アメリカ国内の分断・分極化が進んでいるうえ、世界でもアメリカを中心とした西側とロシア・中国側の「新冷戦」が続いている。そうした地政学リスクに加え、地球温暖化という気候変動に対処しなければ、人類の将来は危うい。
ここのところアメリカは衰退した、世界は分極化していくという見方が主流になってきたが、まだまだアメリカは超大国であり、「覇権」(hegemony)を維持している。
もし、今後、アメリカの覇権が崩れるとしたら、世界はどうなるのだろうか? そんな無秩序の世界で、はたして日本はどう生きていけばいいのか?
そんなことに思いをはせて、次期アメリカ大統領が対処すべき問題をまとめると、次の4つになるのではないだろうか。
1、国内の分断・分極化を乗り越え、民主体制、人権、法の支配を守り、国を一つにまとめること
2、世界を金融バブルの崩壊から救い、国内および世界経済を持続可能な成長軌道に乗せること
3、中ロとの「新冷戦」に勝ち、世界覇権を維持し続けること
4、リーダーシップをとって地球温暖化に対処すること
アメリカはますます分断されていく
では、この4つの課題を念頭において、いまの情勢を見ていきたい。
新型コロナウイルスのパンデミックがあったために、アメリカの分断・分極化は一時的に忘れられた。しかし、人種差別、移民差別、経済格差などによるアメリカの分断・分極化は進んでいる。
トランプが掲げた「MAGA」(Make America Great Again:アメリカを再び偉大に)は、結局は「BLM」(Black Lives Matter)のようなアメリカ社会の理念を揺るがすような事態を巻き起こしてしまった。
共和党は、トランプに乗っ取られたために、穏健派が力を失った。トランプと強硬右派は、民主党との違いを際立たせるために、中絶(プロチョイスとプロライフ)、同性婚などの人権問題から、人種差別、移民排斥、温暖化対策の後退、同盟国軽視などを加速化させてしまった。
こうした問題をリトマス試験紙にしてしまえば、アメリカの分断・分極化はさらに深くなる。共和党の強硬右派の台頭は、民主党の急進左翼の台頭を招いた。これは、先の大統領選挙でのバーニー・サンダースの躍進に象徴される。
白人がマイノリティになるときがくる
アメリカの分断・分極化を招いた大きな要因は、建国以来続いてきた「白人優位」(white supremacy)の低下だ。アメリカはもはや、白人が社会の中心の国ではなくなりつつある。
2020年の国勢調査によると、アメリカの人口は3億3145万人。このうち、白人人口(ヒスパニックを除く)の割合が、10年前の前回調査に比べて2.6%減少した。2020年の国勢調査では、非ヒスパニックの白人が全人口に占める割合は63.7%だったが、2020年には57.8%に下がり、6割を切ったのである。
これは、1790年に国勢調査が開始されて以来、初めての出来事だという。
白人人口の割合の減少とは逆に、ヒスパニックやアジア系などのマイノリティの割合が増加した。ヒスパニック人口は23%増加し、全人口の18.7%に達した。アジア系は35.5%、黒人は5.6%、それぞれ増加した。また、2つ以上の人種を自認する人の数も10年前に比べ約3.8倍の約3380万人に達した。
つまり、アメリカ社会はいよいよ本当の意味での「多様化社会」「人種のるつぼ」になってきたのだ。
このトレンドは今後も続いていく。各種予測によると、アメリカの非ヒスパニック白人人口の割合は、2045年には50%を割り込むと見られている。そうなれば、ヒスパニックや黒人らのマイノリティがマジョリティを構成する「マイノリティ・マジョリティ」社会がやってくる。
(つづく)
この続きは4月5日(水)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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