春になってからニューヨークで立て続けに行われた大規模な「日本酒フェス」。4月には日本国外で最大級とされる「The Joy of Sake」、5月にはニューヨークきっての日本の街・ジャパンビレッジを使った「SAKE-CON」が行われ、どちらもチケットは完売の大盛況。この勢いはどこへ向かっていくのだろうか?

たった3時間のイベントに1000人以上の来場者が訪れた「The Joy of Sake」は、先日デイリーサンでもレポートしたが、今回編集部が行ってきたのは「SAKE-CON」。ジャパンビレッジと、「WORLD SAKE DAY NYC」をはじめとするイベントを企画・開催する「UPSTAIRS NEW YORK」がコラボしたイベントで、今回が2回目となる。

500枚あったチケットは1週間前に完売となり、当日券をオンラインで事前販売するも即完売。イベント当日は、残り分を買うためにイベントの数時間前から列を作る人々もいたそう。チケットはスタンプ制になっており、5種飲み比べが44ドル、15種飲み比べが87ドル、そしてプレミアムボトルの飲み比べもついた15種飲み比べが120ドルという価格設定だ。

「The Joy of Sake」もチケットが130ドル〜と、いずれもアーティストのコンサートくらいの価格帯はするが、これでもニューヨーカーは足を運ぶ。先ほど触れた「SAKE-CON」のプレミアムチケットに関しては、ラインアップにIWAの「IWA 5」(富山県/575ドル)、極めて入手困難と囁かれている萬乗醸造の「火の騎士」(愛知県/1200ドル)、またブルックリンの自然派レストランやアート系のバーでも取り扱われている楯の川酒造の「楯野川 Phoenix JDG 18」(山形県/870ドル)といった高ランクのブランドも入っていたため、プレミアムチケットの売れ行きから、事前に本数を追加してイベントに臨んだほどだという。
こういったラインアップも影響してか、会場内では各ブランドのブースが並んでいる中で行列ができるものと、できないものの差が激しかったりもする。「すでに何が飲みたいか決まっている」こんなニューヨーカーが多く、列に並んでいると「ここのブランド美味しいの? 気になっていたんだよね」といった会話が、見ず知らずの人々と自然に生まれるのも面白い。
今回のイベントを振り返り、UPSTAIRS NEW YORKの担当者は「今回のイベントを通して、他の都市での開催の可能性が見えてきたことと、今回テスト的にハイエンドの日本酒も何本か入れたのですが、すぐにそのチケットは完売しました。今まで日本酒を広めてきた方々のおかげで日本酒が浸透してきており、アドバンスの方向けに今後各酒蔵さんからハイエンドのラインナップを入れていくことも視野に入れています。またアート団体とのコラボもあるので、アーティストと日本の酒蔵さんやブランドなどを繋ぐプラットフォームができたらと思っております」と、今後の展開に期待を込める。
引き続きさらに盛り上がっていくであろうニューヨークの日本酒文化。アニメのジャパンから、サケのジャパンになる日はもうすぐそこのような気がする。というか、すでにそうなっているのではないだろうか。
取材・文・写真/ナガタミユ
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