ニューヨークを代表するグルメショップ、ゼイバーズの共同オーナーで経営者のソール・ゼイバーさんが7日、亡くなった。97歳だった。脳出血で入院していたという。ニューヨークタイムズが同日、伝えた。

ソールさんは家族の名前を冠した食料品店をアッパー・ウエスト・サイドで70年以上も経営、ニューヨークの代名詞となる老舗に育て上げた。
約2万平方フィートに及ぶ店舗の年間売上高は約5500万ドル。地元客のみならず、評判を聞いて世界中から訪れた観光客でにぎわう店内には、スモークサーモンなどの燻製魚、ベーグルや全粒粉パン、世界各国から仕入れた800種類ものチーズ、高級惣菜や珍味、独自に焙煎したコーヒーなどが所狭しと並ぶ。2階では高級調理器具を、隣ではサーモンロックス(鮭の燻製)・ベーグルなどの軽食をカフェ形式で提供。ウェブサイトとカタログを通じた通信販売事業も展開し、スモークサーモンやベーグル、ギフトバスケットを全米に発送している。
ゼイバーズは1934年、ソールさんの両親がブロードウェイのスーパーマーケットの燻製魚売り場として創業。3人兄弟の長男だったソールさんは当初、家業を継ぐつもりはなかったが、1950年に49歳で父が亡くなると、医師になる夢を捨てて帰郷した。兄のスタンリーさんと、長年にわたるマーケティングの達人マレー・クラインさんと手を組み、約22フィートの小さな店を世界的に有名な企業へと変貌させ、ソールさんはニューヨークを代表する鮭の燻製職人の一人となった。
1928年6月4日にブルックリンで生まれ、家族がマンハッタンに燻製魚店を開いた際に同地へ移った。当時は、いわゆるブルー・ロー(日曜営業禁止法)により日曜の商業活動は制限されていたため、若きソールさんは見張り役として警官の接近を監視する役目を担ったという。名門スタイベサント高校に2年間通った後、ブロンクスの私立ホーレス・マン校に転校。1946年に卒業後、カンザス大学に進学したが父の死去に伴い中退した。
これほどの成功を収めながら支店を出さず、創業地での単独店舗営業にこだわったソールさん。CUNY-TVの2005年のインタビューでこう語っている。
「ウィリー・サットンが銀行強盗の理由を問われたときに『そこに金があるから』と言ったように、われわれがウエストサイドにいるのは、そこに顧客がいるからです」
また、雑誌エディブル・マンハッタンの22年のインタビューでは、ゼイバーズブランドをフランチャイズしない理由について次のように答えている。
「金銭が目的ではありません。週7日ここで働く理由も儲けたいからではないのです。これは私たちの生き方なのです。ある意味、昔ながらのスタイルなのです」
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