「ウォール街」と聞けば金融、「ブロードウェイ」と聞けばミュージカルを思い浮かべる人が多いだろう。アメリカには、ストリート(通り)の名前そのものが街や産業、文化を象徴する存在となったものが数多くある。地図出版のワールドアトラスが特に知名度の高い8つのストリートを紹介している。

8つの急カーブと美しい植栽のレンガ造りの道、サンフランシスコのロンバートストリート(photo: Unsplash / Pedro Lastra)

お酒の名前が由来ではない

1. バーボンストリート(ルイジアナ州ニューオーリンズ)

フレンチクオーターを約12ブロックにわたって貫くニューオーリンズ随一の繁華街。1721年にフランス王家「ブルボン家」にちなんで付けられた。昼間は歴史ある街並みが広がるが、夜になるとネオンやライブ演奏、バーが立ち並び、マルディグラの時期には歩くのも困難なほどの人出となる。公道での飲酒は御法度だが、フレンチクオーター周辺ではプラスチック製のカップであれば酒を持ち歩くことができる。

フランス・スペイン植民地時代の面影を残す、バルコニーや鎧戸付きの建物が立ち並ぶ(photo: Unsplash / Kristina Volgenau)

世界最高峰の劇場街

2. ブロードウェイ(ニューヨーク州ニューヨーク)

マンハッタンを縦断するブロードウェイは、ニューヨークで最も古い南北道路の一つ。もともとは先住民が使っていた小道で、後にイギリス人がその幅の広さから「Broadway(広い道)」と名付けた。ミッドタウンにある劇場街はアメリカの舞台芸術の中心地として知られ、トニー賞の対象となる劇場は41館ある。ただし、実際にブロードウェイ沿いに建つ劇場はそのうち3館だけということはあまり知られていない。

アメリカのショービジネスの中心。ここにたどり着く俳優や歌手、ダンサーはほんの一握り(photo: Unsplash / Benny Rotlevy)

高級店が集まるショッピングの聖地

3. 五番街(ニューヨーク州ニューヨーク)

ティファニー、サックス・フィフス・アベニューをはじめ、プラダ、グッチ、ルイ・ヴィトンなど世界的ブランドの旗艦店が並ぶ高級ショッピング街。近年はミラノやロンドンに世界最高額の商業地としての座を譲ったものの、賃料は今なお1平方フィート当たり約2000ドルと世界屈指。ロックフェラーセンターやセントラルパークにも隣接し、観光名所としても人気が高い。

グリニッジビレッジからハーレムまでマンハッタンを縦断する五番街。ホリデーシーズンのショーウィンドーは一見の価値あり(photo: Unsplash / Maxim Klimashin)

世界中の映画ファンが集まる名所

4. ハリウッドブルバード(カリフォルニア州ロサンゼルス)

約2800人以上の俳優や歌手、映画関係者などの名前が刻まれたプレートが歩道に埋め込まれた「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム」で世界的に有名。ストリートには毎年約30人ずつ新たなスターが加わる。近くにはTCLチャイニーズシアターやマダム・タッソー館もあり、年間約1000万人が訪れるロサンゼルス屈指の観光スポットとなっている。

星形のプレートにセレブリティの名前が刻まれている(photo: Unsplash / Oxana Melis)

ネオン輝くカジノ街

5. ラスベガスブルバード(ユタ州ラスベガス)

通称「ラスベガスストリップ」。1941年に最初のリゾートホテルが開業し、46年にはギャングのバグジー・シーゲルが「フラミンゴ」をオープン。これをきっかけに豪華ホテルやカジノが次々と建設され、現在の世界有数のエンターテインメント街へと発展した。

通称「ストリップ」と呼ばれるこの一帯は、飛行機からもはっきり見えるほど華やか(photo: Unsplash / David Vives)

アールデコ建築が並ぶ絶景ストリート

6. オーシャンドライブ(フロリダ州マイアミ)

サウスビーチを代表する約1マイルの海岸通り。1930〜40年代のアールデコ建築が800棟以上残り、全米最大規模のアールデコ地区として知られる。イタリアのファッションデザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチが所有していた邸宅もあり、多くの映画やドラマのロケ地としても知られている。

歩道沿いのテラス席は食事をするだけでなく、行き交う人たちからの視線を楽しむ場所でもある(photo: Unsplash / Zoshua Colah)

高層ビルと450店舗が並ぶ大通り

7. マグニフィセントマイル(イリノイ州シカゴ)

シカゴリバーからオークストリートまで続く約13ブロックのショッピングエリア。1909年の都市計画を基に再開発され、現在では約450店舗が並ぶ中西部有数の商業地区となっている。「マグニフィセントマイル」という名称は1947年、再開発を進めた不動産開発業者アーサー・ラブロフによって名付けられた。

シカゴリバーに架かるデュサブル橋と、マグニフィセントマイルの入口(photo: Unsplash / Debra Manny Mosley)

アメリカ経済の象徴

8. ウォール街(ニューヨーク州ニューヨーク)

ローワーマンハッタンにある全長約0.7マイルの短い通りだが、「ウォール街」はアメリカの金融市場そのものを意味する言葉として世界中で使われている。名前の由来は17世紀、オランダ人入植者が外敵から街を守るために築いた木製の防壁。その後、1792年には「ボタンウッド協定」が結ばれ、ニューヨーク証券取引所誕生の礎となった。

最も有名なのは11番街にあるニューヨーク証券取引所(NYSE)。上場企業の時価総額で世界最大を誇る (photo: Unsplash/ at)

通りそのものが街のブランド

今回紹介した8つのストリートは、それぞれが単なる道路ではなく、都市の歴史や文化、産業を象徴する存在となっている。中でもニューヨークは、ブロードウェイ、五番街、ウォール街の3カ所が選ばれ、世界有数の都市としての存在感を改めて示している。