ニューヨーク市は8月24日、2001年9月11日に世界貿易ビル(WTC)で発生した同時多発テロで、これまで身元が判明していなかった犠牲者1人の身元を新たに特定したと発表した。マムダニ市長と市検視局(OCME)が共同で明らかにした。今回身元が判明したのは成人女性で、遺族の意向により氏名などの詳細なプロフィールは公表されていない。

DNA解析技術と家系図調査を融合
今回の特定において特筆すべきは、「法医学的調査家系遺伝学(FIGG)」と呼ばれる画期的な最新の科学捜査技術が初めて9/11犠牲者の特定に導入された点だ。この手法は、特殊なDNA解析技術と家系図調査のプロセスを組み合わせることで、これまで困難だった身元の有力な手がかりを導き出すもの。今回の成果は、検視局の法医学能力とニューヨーク市警察(NYPD)の遺伝学捜査班の専門知識が融合した、新たな連携協力による成果となる。
犠牲者2753人のうち40%が身元不明
WTCでの犠牲者は計2753人に上り、今回の女性は全体で1654人目の身元特定となる。事件から25年の節目を迎えるにあたり、マムダニ市長は「私たちは、25年間答えを待ち続けてきた遺族への約束を忘れていない。全ての遺族が明確な答えと心の区切り(クロージャー)を迎えられるよう、可能性のある限り取り組みを続ける」と決意を述べた。また、検視局では今回の新規特定だけでなく、最新技術の再テストや遺族への働きかけを通じて、既に身元が判明している他の3人の犠牲者についても、追加で回収された遺骨の紐付けに成功したと報告している。
なぜ身元特定が困難なのか
事件から四半世紀が経過した現在も、犠牲者全体の約40%に相当する1099人の身元が未だ特定されていない。大量のジェット燃料に加え、オフィス家具などの可燃物が数カ月にわたって燃え続けたことや、110階建ての巨大なビル2棟が崩れ落ちた際の凄まじい破壊力(現場から回収された遺骨の多くは爪の先ほどに断片化していた)、消火活動による大量の水、太陽光、カビ、細菌、ディーゼル燃料や化学物質などが長期間混ざり合ったことで、骨の中に残されたわずかなDNAそのものが激しく劣化・破壊されてしまったことなどが原因。事件以来、特定作業は絶えず続けられているが、身元の判明は困難を極めている。
日本人被害者の約半数、身元判明せず
犠牲となった日本人23人のうち、約半数にあたる10人以上の身元が特定され、遺骨(遺体の一部)が日本の遺族のもとに返還されている。一方で、今なお半数近くの日本人犠牲者については一切の遺骨や遺品が見つかっていない。FIGGの導入により、これまで見つからなかった日本人犠牲者の遺骨が特定・返還される可能性は残されている。
市当局は今後数カ月、数年にわたり、あらゆる科学的ツールを駆使して義務を果たし続ける方針だ。
















