
ニュージャージー州のフィル・マーフィ州知事は30日、1月30日を「フレッド・コレマツの日」と定める州の決議に署名した。故コレマツ氏は第2次世界大戦中、日系人が敵国のスパイとされて強制収容所に送られたのに抵抗し、戦後も日系人の人権回復に奔走した。1月30日はコレマツ氏の誕生日で、州民の自由を認識する日として制定したのは、トライステーツではニュージャージー州が初めて。全米では、カリフォルニア州などに次いで6州目となる。
「制定によって、私たちは、市民の自由を守るという国家の理想のために改めて尽くしていくことになる」とマーフィ知事。
「米国史で起きた不正を修正することはできないが、不正に対して闘いを挑んだ人々の話は忘れてはならない。歴史は、より良い明日を築くガイドとなるべきだ」
署名の式典には、コレマツ氏の長女でフレッド・コレマツ協会創設者のカレンさんと、在ニューヨーク日本国総領事館の森美樹夫大使らが出席した。
その後、「コレマツの日」を2020年に制定した同州フォートリー区での式典で、カレンさんは、約50人の市民や政治家を前にこう語った。 「若者が疎外感を感じること、ヘイト・クライム、銃撃事件などを無くすべきだ。わずかな人々が引き起こすことが、私たち皆にショックを与える。フレッドはこう言いました。『正しいと思うことのために立ちあがろう』『声を上げることを恐れてはならない』」
フォートリー区や同州の「コレマツの日」制定に尽力したのは、不動産業を営む古本武司氏と妻のキャロルさん。同州の制定には、州議会での証言などに2年半をついやしたという。古本氏は戦時中、強制収容所で生まれ、後に米士官としてベトナム戦争に出兵した。 「今日は、人類にとって素晴らしい日だ。米国は多くの人種がいて、もっと良い国にしていくのは難しいかもしれないが、私たちの力で今日この日を迎えられたのは、大変嬉しい」
カレンさんは今後、同州の教育局と協力し、学校での授業で人権について教えていくこと、コレマツ氏を題材にしたスピーチコンテストや作文コンテストを実施したいと、デイリーサンに語った。
コレマツ氏(日本名是松豊三郎)は戦時中、強制収容に反抗したため有罪判決を受けた。しかし、戦後40年ちかく経てから、有罪判決を無効にするために戦った。1998年には、クリントン大統領(当時)から大統領自由勲章を受章した。
フレッド・コレマツの日を認定したのはカリフォルニア州、ハワイ州、バージニア州、フロリダ州、アリゾナ州のほか、ニューヨーク市も2017年に制定した。(津山恵子)

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