2025年8月20日 NEWS DAILY CONTENTS

アメリカ生活で知っておきたい「手頃でおすすめな魚 & 避けるべき魚」

鮮魚コーナーが人気のスーパー「ウェグマンズ(photo:Keiko Tsuyama / 2023年12月撮影)

アメリカ在住の日本人にとって、魚は高級食材の一つ。なるべく安価な魚を購入したいが、安い魚は一般的に汚染物質による健康リスク、持続不可能な養殖方法や過剰漁獲などの問題を潜在的に抱えている。グルメサイトのチョウハウンドが、おいしくてサステナビリティーに優れた手頃な魚と、避けた方がよい魚をそれぞれ6種類紹介している。

鮮魚コーナーが人気のスーパー「ウェグマンズ(photo:Keiko Tsuyama / 2023年12月撮影)

◆ おすすめの魚

1. サバ(Mackerel)
オメガ3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB群が豊富。副漁獲物や生息地へのダメージを最小限に抑えるなど、漁獲量は適切に管理されている。ただし、水銀含有量が高いキングマッカレル(サワラ)は避けた方が無難。

2. イワシ(Sardines)
オメガ3脂肪酸、ビタミンD、カルシウムが豊富。食物連鎖の下位に位置するため、大型の肉食魚に比べて汚染物の蓄積が少ない。繁殖が早く、海洋生態系への影響が最小限の漁法で捕獲されている。缶詰のサバは手頃な価格な上、骨ごと食べられるので、栄養価がさらに高まる。長期保存できるので常備品としても最適。

3. ハタ(Grouper)
タンパク質、ビタミンB6、セレンが豊富。サステナビリティーの観点からは、一部の種は適切に管理されているが、他の種は過剰漁獲に直面しているので、海洋管理協議会(MSC)の認証を受けたものや、シーフードウォッチで「Best Choice」または「Good Alternative」と評価されたものを選びたい。レストランで提供される安価なハタは偽物の可能性があるため、信頼できる店で食べること。

4. ヘイク(Hake)
カレイに似た味の白身魚。タンパク質、ビタミンB12、リンやセレンなどのミネラルが豊富。サステナビリティーの高さから、過剰漁獲が問題となっている他の白身魚の代替品としておすすめ。MSCの認証マークが付いたもの、シーフードウォッチで「Best Choice」または「Good Alternative」と評価されたものを選ぼう。 

5. サーモンステーキ(Salmon Steaks)
大型のサーモンから切り出されたもので、サーモンの栄養価を全て含み、フィレなどと比べて大幅に安価。オメガ3脂肪酸、タンパク質、ビタミンDが豊富。野生捕獲の太平洋サーモン(ソケイエやコホなど)または米持続可能水産物協議会(ASC)認証の養殖サーモンを選びたい。これらの選択肢は養殖の大西洋サーモンよりも一般的にサステナビリティーが高いとされている。

6. ナマズ(Catfish)
低脂肪のタンパク質、ビタミンB12とセレンが豊富。アメリカ市場で流通するナマズのほとんどは養殖もの。養殖ナマズは野生捕獲の魚に比べてオメガ3含有量が低いと指摘されることもあるが、アメリカの養殖ナマズは品質管理が厳格なため、輸入品種よりもはるかに優れている。ASCやグローバル・アクアリカルチャー・アライアンスの「ベスト・アクアリカルチャー・プラクティス(BAP)」の認証を受けたものを選びたい。

避けた方がよい魚は?

1. 大西洋タラ(Atlantic Cod)
乱獲により個体群が著しく減少。特に北西大西洋では深刻化している。多くの個体群は過剰漁獲状態にある。タラの漁獲方法の一つである底引き網漁は、海洋生態系に損傷を与える可能性がある。タラを食べたい場合は、太平洋タラを選択するか、MSC認証を受け適切に管理された漁場から調達された大西洋タラを探そう。

2. 大西洋ヒラメ(Atlantic Halibut)
タンパク質とオメガ3脂肪酸の良好な供給源だが、過剰漁獲により絶滅の危機に瀕している。ヒラメは成長が遅く成熟が遅いため、過剰漁獲の標的になりやすい。捕獲方法も海底に深刻なダメージを与える可能性がある。ヒラメを食べたい場合は、MSC認証の太平洋ヒラメを。

3. ティラピア(Tilapia)
一部の海外のティラピア養殖場では、アメリカで禁止されている抗生物質や化学物質が使用されている。環境面では、廃棄物管理不良も問題視されており、ティラピアは「ゴミ魚」と呼ばれるほど。また、野生魚の群れへの病気の拡散リスクも指摘されている。 多くの他の魚種に比べて有益なオメガ3脂肪酸が少なく、過密飼育下ではオメガ6脂肪酸の含有量が高くなる可能性があり、過剰摂取すると炎症を促進する可能性がある。

4. バサ(Basa)
東南アジア、特にベトナムで主に養殖されるナマズの一種。多くのバサ養殖場では、水質汚染や他国で禁止されている抗生物質や化学物質が使用されている。また、汚染された水域での飼育と、それに伴う懸念も指摘されている。他の多くの魚種に比べて有益なオメガ3脂肪酸の含有量も低い。

5. アジアンカープ(Asian Carp)
北米の水域で外来種として問題視されている。汚染水からの有害物質を蓄積しやすく、健康リスクの可能性も。

6. オレンジラフィー(Orange Roughy)
深海魚の一種。成長が非常に遅く、最大100年生きることも。過剰漁獲のリスクと、長い寿命のため水銀を蓄積しやすい傾向がある。回復速度も遅いため、過剰漁獲により個体群が著しく減少している。捕獲方法の底引き網漁などは敏感な深海生態系に損傷を与える可能性がある。  

                       
合わせて読みたい記事
RELATED POST