ニューヨーク市内でAirbnbなどの30日未満の短期住宅レンタル禁止法(Local Law 18)が施行されたのが2023年。アパートの供給増を目指したが、2年経過した現在、期待は外れている。7日付のウォール・ストリート・ジャーナルが現状を分析している。

23年初頭時点でAirbnbに登録されていた物件は3万8500戸。「アパートがホテル化した」「観光客が常に出入りしている」「深夜まで騒々しい」「廊下で嘔吐している」などの苦情が引っ切りなしだった。
アパートの空室数が4万戸であることから、登録されていた物件が1年以上のレンタル物件に転換されれば、空室数は倍増する。「1戸も見逃すわけにはいかない」と市の執行当局者が息巻くのも無理はない。
ところが実際は期待外れ。マンハッタンのレンタル物件の空室率はこの7月、2.45%。家賃月額の中央値は過去最高の4700ドルだ。Airbnbに登録されていた物件が1年以上のレンタルに転換されたわけではないからで、30日以上のレンタル物件になったものも少なくない。
さらに、この法律には抜け穴がある。「滞在者は2人を超えない」「家主が同居する」「市に登録する」などのルールを守れば短期レンタルも可能なのだ。こうした物件は現在3000件。ブルックリンやクイーンズに多い。
来年夏のワールドカップを見越して11月の市長選候補にこの法律を廃止するよう働きかける業者がいる。1または2家族用住宅の「30日未満レンタル」を許可する法案も1年前に市議会に提出された。Airbnbが後押ししている。
アフォーダブル(手頃な)家賃の推進団体や賃借人組合は、ホテル業界や従業員組合からの資金を使って短期住宅レンタル禁止法を擁護。抜け穴ルールも禁止すべきだと主張している。「法律があってもこれだけ住宅が不足しているのに、規制が外れたら地獄」と警戒している。
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