現在、各国が金融緩和政策を実施しているため、世界中で株式が上昇しています。つい最近も日経平均株価が14年9カ月ぶりに高値を更新したとのニュースがありました。米国のS&P500指数、ドイツのDAX指数、英国のFTSE指数すべて過去最高値を記録しました。
このような状況下でETFも非常に盛況となっています。ETFとは株式市場に上場している投資信託であり、上場投資信託Exchange Traded Fundsの頭文字をとりETFと呼ばれています。米国では1375種類のETFが取引されており、合計資産が1・8兆ドルにも上りますが、日本でも近頃はETFが活況になっています。特に人気なのが日経平均株価やダウなどの株価指数に連動するインデックスETFで、さらに最近はレバレッジ型ETFと呼ばれるETFも登場し、活発に取引されています。
例えば、日経平均ブル2倍ETFは日経平均株価にただ単純に連動するだけでなく、その2倍(3倍なら3倍)動く商品です。日経平均株価が1%動くと、2倍なら2%、3倍なら3%動きます。昨今のように株価が100%も上がった時に持っていれば、単純計算で200%上がると思われますが、実はそこにレバレッジとボラティリティ(価格変動の激しさ)いう落とし穴があります。
具体例を挙げると、仮に日経平均が1万円だとします。そして、高低2つのボラティリティ下で日経平均ブル2倍ETFがどのようなリターンを出すか見比べてみましょう(図1)。
高ボラティリティ下では2倍ETFでもリターンは2倍にはなっていません。むしろ、約25%も下回っています。ちなみにこの数字はファンドの手数料や報酬などは考慮に入れていないため、実際はもっとリターンは落ちます。
なぜこうなるかというと、レバレッジ型ETFは日々の騰落率のみを何倍にしているため、大きく下落すると、元の価格に戻るのにもっと上昇する必要があるからです。逆にレバレッジ型ETFはどういう時に有利かというと、ボラティリティが低い時、単調な上昇相場で効力を発揮します。ただし、単調に上がり続けるという相場はめったにありません。レバレッジ型ETFに投資する際はこの事を一考しては。(在NYエコノミスト チングーン・ボロルマー : l.cbolormaa@gmail.com)
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