2026年のサッカー・ワールドカップは、アメリカ、カナダ、メキシコの共催で6月11日から7月19日まで開催されるが、アメリカでの試合観戦を避けようとする海外ファンが出ている。背景にあるのは、トランプ政権による移民政策や入国審査への不安だ。21日付のCNNが伝えた。

ドイツ・フランクフルト在住のスティーブ・シュワルツバッハさんは、2006年以降、全てのワールドカップ大会に参加してきた。しかし彼は今年、アメリカでの大会をボイコットするという意識的な決断を下した。
「ICE(移民税関執行局)の職員が街中を歩き回り、ただ外国人に見えるというだけで人々を路上で連行していくのを見ていると、誰も自分を守ってくれるとは思えないんだ」
シュワルツバッハさんは韓国人とドイツ人のハーフでもあり、その出自が自分を標的にする恐れがあると懸念している。「見た目はドイツ人というよりアジア人に近いんだ。安心はできないよ」
イギリス人のピーター・ホームズさんも、ブラジルやロシアへの渡航時よりも、アメリカでの試合観戦の方がはるかに怖いと感じており、代わりにメキシコでの試合のチケットを購入したという。彼にとっての「一線」となったのは、ミネアポリスで連邦捜査官に射殺されたレニー・グードの事件だった。
「それだけでも十分ひどいことだったが、政府がそれを否定し、彼女を何らかのテロリストであるかのようにほのめかしたあの茶番ぶりを見て、『俺もテロリスト呼ばわりされて撃たれるかもしれないな』と思った」
一方で、カナダ在住のファンの中には、カナダ国籍や政治色の薄いSNS利用歴などを理由に、アメリカでも安全に観戦できると見る声もある。カルガリー在住のアルジュン・モドワディアさんは、準々決勝の試合を観戦するためにカンザスシティへ行くのを楽しみにしていると語った。モドワディアさんは褐色の肌を持ち、タンザニア系の血を引いている。しかし彼は、昨年カナダ市民権を取得して手に入れたカナダのパスポート、ヒンドゥー教徒としての背景、そして政治的な発言を控えたSNS上の姿勢があれば、自分を守ってくれると確信していると語った。
チケット高騰で1%のためのWカップに?
ロサンゼルスのピッツァー大学で世界サッカー史の講義を担当するサッカー史家兼作家のデビッド・ゴールドブラットさんは、チケット価格の高騰により、スタンドは特定の層で埋め尽くされることになるだろうと予想する。
「サッカーの試合に行ったことのない人々が大勢来場するでしょう。彼らにとっては、まるでスーパーボウルやブロードウェイのショーに行くようなものだからです。その結果、観客は白人が圧倒的に多くなると思います。こうした傾向はワールドカップで顕著になります」
ゴールドブラッドさんは今年、アメリカでの試合観戦を見送りメキシコを選ぶことにし、熱心なファンにとって試合が手の届かないものにしてしまったとしてFIFAを厳しく批判した。
「サッカーは伝統的に、ヨーロッパや南米では労働者階級のスポーツです。これは大衆のためのスポーツであり、サッカーそのもの、その情熱、興奮、そして退屈な試合さえも愛する熱心なサポーターのためのものです。価格設定によって彼らが事実上排除されることになるのは非常に残念であり、ワールドカップの精神を大きく損なうことになると思います」
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