コロンビア大学歯学部は、性犯罪で有罪とされ2019年、拘置所で自殺した富豪ジェフリー・エプスタインの最後の交際相手であるカリーナ・シュリアクさんが、23年に上級研修医プログラム(ニューヨーク州歯科医師免許を取得するために必要)へ入学するのを不適切に支援したとして、シニア管理職のジェームズ・ファイン博士を降格処分にしたと発表した。複数のメディアが28日、伝えた。

コロンビア大歯学部に裏口入学
シュリアクさんは12年にも、エプスタインによる多額の寄付と引き換えに同大学歯学部に不正に入学している。不正入学に関して、大学は関与した大学幹部を追放、解任、降格処分にし、計21万ドルの寄付金を全て没収。ニューヨーク市内の「性暴力および人身売買の被害者を支援する2つのNPO団体」へ全額を寄付(譲渡)した。今回の降格処分は、シュリアクさんが上級研修医プログラムに入学する際、ファイン博士が「自身の診療所で変則的なインターンシップをさせて実績を偽装し、最高評価の推薦状を書く」という職権乱用を行ったことが直接の理由だ。
問われる名門大の倫理観
エプスタイン文書の公開により、コロンビア大学だけでなく、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、イェール大学など、アメリカのトップクラスの複数の名門校が、エプスタインから多額の寄付金を受け取り、引き換えに特別な便宜を図っていた事実が次々と明るみに出ている。この問題は下院司法委員会から追及も受けており、大学側は「大口寄付者や権力者による不当な介入」を完全に排除するため、外部の監査を入れた入学審査の透明化を迫られている。
偽装結婚で永住権を取得
シュリアクさんはエプスタインの仲介で偽装結婚し永住権を、後に市民権を得ていたことも判明。これまでの報道によると、ベラルーシ出身でアメリカの在留資格に不安を抱いていたシュリアクさんはエプスタインを介して、イーロン・マスク氏の弟であるキンバル・マスク氏と過去に交際していたという女性と13年に結婚(アメリカでは同性婚は合法)。これにより、シュリアクさんはグリーンカード(永住権)を取得し、18年には市民権を得た。目的を達成した後、二人は離婚している。偽装結婚は連邦犯罪であり、帰化手続き時の嘘(偽証)は市民権取り消しの正当な理由になるが、現時点で司法省が国籍剥奪に向けて提訴の手続きを始めているかどうかは不明。
「血塗られた金」相続の可能性も
エプスタインが自殺する直前に作成した「1953信託(1953 Trust)」により、シュリアクさんは約1億ドル(約150億円)相当の遺産や高級不動産の筆頭受益者に指名されていることも判明している。しかし、エプスタインの財産は、多くの未成年者への性的搾取(被害者の一人は後に自殺)や犯罪行為によって築かれたもので、その犯罪のパートナー(最後の交際相手)であった彼女が、多額の富を手に入れてアメリカで不自由なく暮らすことに対し世論の怒りは極めて強い。エプスタインの遺産はまず、被害者への賠償金や未払い税金の支払いに優先して充てられるため、シュリアクさんが受け取るのは「残りカス」とされるが、倫理的な問題は解決していない。
エプスタイン事件は司法、移民制度、名門大学の倫理観に至るまで、アメリカ社会の根深い問題を浮き彫りにしている。
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