ニュージャージー州で7月23日、「適正価格保護法(Fair Price Protection Act)」が成立した。消費者のプライバシーを守り、不透明な価格差別を防ぐのが目的。個人データを価格設定に利用する「監視価格(Surveillance Pricing)」が広がり、同じ商品でも消費者によって提示される価格が変わる風潮に歯止めをかける。

買い物履歴から「払える最高額」を予測
ニュージャージー州と米連邦取引委員会(FTC)などによると、監視価格とは、閲覧・購入履歴、現在地、居住地域などをAIが分析し、その人が支払う可能性のある価格を算出する仕組み。需要や在庫に応じて全員の価格が変わる「ダイナミックプライシング」と異なり、同じ商品でも人によって価格が変わる可能性がある。

FTCによると、価格設定サービス会社はスーパーマーケットやアパレルなど少なくとも250社と取引していたが、取引先名は公表されていない。主にオンラインショッピングやアプリで利用されやすいが、店舗アプリや電子棚札などを個人データと連携させ、実店舗で活用される可能性もある。ニュージャージー州の新法は、デジタルと実店舗の双方を対象としている。
同じ卵が3.99ドルにも4.79ドルにも
消費者団体のコンシューマーレポートなどが2025年、食料品配達サービスのインスタカート(Instacart)の価格を調査したところ、同じ時間に同じ店舗の商品を購入しても、利用者によって価格が最大23%異なるケースが確認された。ワシントンD.C.のセーフウェイでは、同じ卵1パックが3.99ドルから4.79ドルまで、5種類の価格で表示されていた。
インスタカートは、個人データに基づく監視価格ではなく、利用者を無作為に分けた価格テストだったと説明。批判を受け、2025年12月にこの仕組みを終了した。
NY州は表示、NJ州は使用禁止へ
ニューヨーク州では2025年11月から、個人データで価格を決めた場合、その事実を表示することが義務付けられている。使用自体を禁止する法案も州議会を通過し、知事の署名を待っている。
ニュージャージー州の新法は2027年2月1日に施行予定で、食品や日用品が対象。施行後は、企業が検索・購入履歴や位置情報などの個人データを使い、基本価格を消費者ごとに変えることが違法となる。消費者が気づきにくい「見えない値上げ」を未然に防ぐ点に大きな意味がある。通常のセールやクーポン、会員割引は除外される。
















