トランプ政権が、ビザの有効期限が切れた外国人をアメリカ国内の空港で拘束する取り締まりを拡大している。移民・関税執行局(ICE)の私服職員が、チェックインカウンターや到着ゲートなどで対象者を連行。ここ数週間だけで少なくとも15空港で執行が確認された。ニューヨークタイムズが7月28日、伝えた。

在留資格の変更手続き中の場合は、飛行機を使う国内旅行は避けた方が賢明だ(photo: Unsplash / Sohan Shingade)

運輸保安局(TSA)とICEの連携はこれまで、主に国外退去命令が出ている人物が対象だった。両機関の協力は2025年5月に始まり、TSAが航空会社から得た搭乗情報を照合し、該当者をICEに報告していた。しかし、国土安全保障省(DHS)の文書やニューヨークタイムズが弁護士へ行った取材によると、現在は単にビザが失効した人にも対象が広がったとみられる。

アメリカでは毎年、数十万人がビザの期限を超えて滞在する。ただし、その中にはビザ延長や永住権への資格変更を合法に申請し、審査中の就労許可を得ている人もいる。過去には犯罪歴がない限り、こうした申請中の人が優先的に拘束されることはほとんどなかった。ところがトランプ政権は、期限超過者を、即不法滞在者と位置付け、1日2000件の移民拘束を目標にしている。

拘束された人には、就労ビザの延長を待つ技術者、アメリカ人と結婚して永住権を申請中の新婚者、元オペア※などが含まれる。デンバー空港では、J-1交流訪問者ビザで合法的に入国し、在留申請と就労許可を得ていたエクアドル人女性が搭乗直前に拘束された。継続中の亡命申請がある鎌状赤血球症のウガンダ人女性も拘束されたという。エクアドル人女性の弁護士は、適切な令状や拘束の必要性を個別に判断せず連行したとして提訴。裁判官は3000ドルの保釈金で釈放を認めた。

※一般家庭に住み込みで子どもの世話や家事を行い、その見返りとして滞在費(家賃・食費)の無料提供や給与を受け取る国際文化交流・留学プログラム。

NY・NJの空港や日本人逮捕者は?

ニューヨーク、ニュージャージー州の主要空港でもICE職員の配置が確認されているが、今回の取り締まりによる州別・空港別の逮捕者数は公表されていない。全米では少なくとも27人が空港で拘束されたと報じられている。また、在ニューヨーク日本国総領事館によると、在留邦人がICEに拘束されたとの報告は7月29日時点では確認されていないという。

在留資格の変更手続き中は旅行を避けて

移民法弁護士は、これまでの「有効な身分証があれば国内線を利用できる」との助言を変更し、在留資格の変更手続き中は旅行を避けるよう勧告し始めた。空港が新たな移民摘発の場となり、合法的な申請中でも拘束され得るとの警戒が広がっている。