安野モヨコの漫画「鼻下長紳士回顧録」が、今秋ニューヨークで新作ミュージカル「MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN」として幕を開ける。日本漫画を原作に、英語オリジナルのオフ・ブロードウェイ・ミュージカルを制作・上演する史上初の挑戦。その舞台裏では、日本人、そして日本にルーツを持つクリエイターやプロデューサーたちが重要な役割を担っている。

安野モヨコの「鼻下長紳士回顧録」を原作としたミュージカル「MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN」の公演キービジュアル

脚本には注目の“日系劇作家”

脚本を手がけるのは、鎌倉生まれ、ケンタッキー州育ちの日米ハーフの劇作家、リア・ナナコ・ウィンクラー(Leah Nanako Winkler)。数々の演劇脚本家賞を受賞し、現在は「クレイジー・リッチ」のミュージカル版も手がける注目の脚本家だ。

脚本を担当するリア・ナナコ・ウィンクラー(photo: Leni Kei)

「日米ハーフの脚本家として日本のIP作品を新しい観客に届けることに強い情熱を抱いています」とウィンクラー。「安野モヨコ先生が生み出した美しい世界」に敬意と愛情を込めて向き合ったといい、「この素晴らしいチームと一緒に実現できることを本当に喜ばしく感じています」と語る。

足掛け6年間「次に目指すのは…」

さらに、作品をニューヨークへと運んだ中心人物の一人が、プロデューサーの黒川裕介/TEAM RAYMANだ。

プロジェクトが始まったのは2020年。ブロードウェイ業界で尊敬を集める演出家・振付家ロブ・アシュフォード(Rob Ashford)が「鼻下長紳士回顧録」を発見し、「ブロードウェイミュージカルにできる」と確信したことから始まったという。

演出・振付を担当するロブ・アシュフォードは、トニー賞、オリヴィエ賞、エミー賞の受賞者

「それから足掛け6年間、わたしたちTEAM RAYMANは日本人の投資家・プロデューサーとして初めて、日本のIPを原作としたブロードウェイミュージカル化に取り組み、史上初の数カ月間にわたるオフ・ブロードウェイ公演に導くことができました」と黒川。

2023年の台本読み合わせ、25年のワークショップを経て、ついに数カ月にわたるオフ・ブロードウェイ公演へ。最終目標であるブロードウェイ上演に向け、大きな一歩を踏み出す。

黒川は「トニー賞受賞者であるブロードウェイのトップクリエイターたちが集結し、日本の漫画を世界最高峰のミュージカルに仕立て上げる世界で初めての画期的な試み」と期待を寄せ、「次に目指すブロードウェイ公演に進む試金石として、どのように現地の観客のみなさんに楽しんでいただけるか、いまからワクワクしています」と話す。

製作陣には「日本人の力」

そして製作陣にも日本人の名前が並ぶ。エグゼクティブ・プロデューサーに松倉信行、山田信之介、アソシエート・プロデューサーに安藤優、古矢美花、大谷亮平、Yumiが参加。原作の安野モヨコ、脚本のリア・ナナコ・ウィンクラー、プロデューサーの黒川裕介/TEAM RAYMANをはじめ、日本で生まれた作品をニューヨークのエンターテインメント最前線へ送り出す過程に、日本人や日本にルーツを持つ才能が深く関わっている。

日本を代表する漫画作家の一人、安野モヨコ

原作「鼻下長紳士回顧録」の舞台は20世紀初頭のパリ。娼館で働く主人公コレットが、そこを訪れる風変わりな客たちの欲望や告白、悲しみを書き留めながら、次第に自分自身の生き方を見つめ直していく物語だ。一方で、幼なじみの恋人レオンへの断ち切れない執着も抱えており、愛と自立の間で揺れ動く一人の女性の姿が描かれる。

プレビュー公演は9月25日から、正式開幕は10月15日。2027年1月3日まで、マンハッタン・チェルシーの新劇場「The Night Egg at the Culture Club」で上演予定。

日本発の漫画と、日本人チームが挑むニューヨークの舞台。その先にある「ブロードウェイ」への挑戦が、いよいよ始まる。

MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN

期間
10月15日(木)〜2027年1月3日(日)
※プレビューは9月25日(金)から
場所
The Night Egg
(530 W. 27th St.)
チケット
8月13日時点で価格は未発表
公式Webサイト
https://www.memoirsmusical.com/