マンハッタン区イーストビレッジのレストラン「dieci(ディエチ)」で、9月19日までの期間限定で販売されている「岩崎本舗」の「長崎角煮まんじゅう」。じっくりと煮込まれた豚バラと、それをふんわりと包むもちもちのバン。地元長崎では「長崎県特産品新作展・最優秀賞」を受賞した話題の一品。原材料はもちろん調味料の選別・調達から、細かい仕事が光る製造まで、全ての工程にこだわりをちりばめたのが、同店の「長崎角煮まんじゅう」だ。
期間限定! 長崎角煮まんじゅう
店主の兒玉伊佐央さん、千夏さんは、「岩崎本舗」海外展開の第一歩として、今年の4月からイーストビレッジでポップアップ店を開始した。
店舗周りは閑静で、大きな看板を出しているわけでもないが、多くの人がわざわざ足を運び、角煮まんじゅうを味わっていく。「お肉に味がしっかりと染みていて、脂っこくない」「バンがふわふわしていておいしい」と、さまざまな食文化を持つニューヨーカーたちにも大人気だ。日本人とは違い、米国人には脂身の多い肉というのは、あまり受け入れられないことがしばしばある。しかし、同店の角煮を食べたニューヨーカーのなかには、「豚バラ」を使用していると気づかない人もいるという。しかも、脂身だけをつまんで食べる人もいたというから驚きだ。
日本人ならではの丁寧な仕事
一見シンプルなこの角煮とバンには、日本人だからこそできる細かな手間がかかっている。
まず角煮。1日目に、日本から取り寄せた、厳選した出汁醤油や調味料とともに豚バラを煮込む。2日目、3日目に、ゆっくりと時間をかけ豚バラに味を染み込ませる。この3日間を通して肉から出てくる余分な脂は、こまめに手作業で全て取り除かれる。そうしてできるのが、肉の臭みが一切なく、口に入れた瞬間にとろけ、あっさりした脂身までおいしい角煮だ。
次にバン。ふわふわでもっちりとしたバンを安定して提供するため、岩崎本舗の本社に数人しかいないバン作り専門の職人が製造を担当している。常に同じ品質のバンを作るには、その日の気温や湿度によって、作り方を変える必要があるからだ。その配分は、長年の経験によって培われてきた職人の〝勘〟によって差配される。輸送するときにも、食感が変わらないようにするため、徹底的に温度の管理が行われる。また、バンを製造する本社工場では衛生管理にも気をつけており、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程が管理対象となる食品衛生管理の方式、HACCP方式を採用している。
「来年中には独自で店舗を構え、『バン』を使った料理や食文化をニューヨークに根付かせたい。そして、1965年創業の岩崎本舗を100年続く企業にしたい」と千夏さんは意気込んだ。
今後の海外展開が楽しみな岩崎本舗。期限が終わる前にぜひ食べてみたい一品だ。