地下居酒屋MEW

 寿司、ラーメンに続くキーワードは「IZAKAYA」。ジャパニーズタパスとして昨今、ニューヨークで旋風を巻き起こしている。今回は、先日オープンから1周年を迎えたばかりの「地下居酒屋MEW」をご紹介。ただの居酒屋ではなく地下居酒屋、そしてミューというユニークな響きから、人々の興味を誘っているこの店を、ちょっと覗いてみよう。

日本のスタイルをそのままにこれぞNYに欲しかった居酒屋

 「仕事帰りに一杯やっていく?」「週末はストレス発散、仲間と飲みまくるぞ」「先輩、相談があるんですけど」…で、どこに行く? こんな時思い出すのが、日本でよく通っていた居酒屋。ビールや酎ハイに好きなおつまみを頼めば、用意万端。あとは気の済むまでしゃべって、飲んで、食べる。「もう遅いから続きはまた今度」なんて具合に一日を締めくくる場所が居酒屋ということは、よくあるはずだ。
 コリアンタウン35丁目の5番街と6番街の間。注意しないと見落としてしまいそうな1枚ドアの入り口から地下に降りていくと、そこに「地下居酒屋MEW」はある。地下に広がるその空間は、決して目立つとは言えない入り口からは想像がつかないほど活気に満ちており、店員の元気なあいさつとお客さんの笑い声が店内に響いている。

 昨年7月にオープンした同店は、日本の居酒屋と変わりなく楽しんでもらいたいというオーナーの強い想いから、ニューヨークで一番「味、値段、サービス」のバランスがよい店を目指して営業してきた。今までこの街にはなかったレトロな雰囲気とリーズナブルな和食は、たちまち噂となり、今ではディナータイムには人々が列をなすほどの人気店となった。
 安いからと言って学生ばかりが集まるわけでもなく、仕事帰りのサラリーマンや女性同士のグループ、家族連れの観光客から近所に住む人まで、国籍問わずさまざまな客層が見られる。
 ただ安いのではなく、きちんと経験のある日本人シェフが作る料理と、居心地のよい雰囲気を提供してきた結果、これほどまでに多くの人から愛される店となったのだろう。
 そんな同店の4大人気メニューは「お好み焼き」「カニクリームコロッケ」「オムそば」そして「はまちのカルパッチョ」。訪れた客のほとんどはこのどれかを注文するという。日本人には食べ慣れた大衆的な料理が外国人にも非常にウケているようで、嬉しい気持ちになるとスタッフの1人は言う。

 季節限定メニューもあるので、何度通っても飽きることはなさそうだ。今夏はさまざまなスペシャルメニューの中でも、さっぱりとしながらもきちんと栄養補給のできる「豚しゃぶサラダ」と「海鮮冷やし中華そば」が特におすすめ。
 また、平日はランチ営業もしており、定食、丼、麺類がすべて10ドル以下。お得な日替わり定食を求めて、近隣のオフィスから毎日の様に訪れる人もいるのだとか。

 常に新たな挑戦をしていきたいという同店では今後、酒テイスティングなどのイベントも企画している。
 海外では日本食はどうしても高級になりがち。日本に居た時と同じ様に気軽に、安く、旨く、くつろげる店は実はそう多くない中、本当に重宝できる店と言える。
 新たな行きつけの店リストに〝地下居酒屋〟を加えてみてはいかがだろう。気付いたら、ランチもディナーもMEWという日もあるかも知れない。

地下居酒屋MEW
53 W 35th St, Basement(bet 5th & 6th Ave)
☎646-368-9384
www.mewnyc.com

営業時間
L=月〜金:12pm〜3pm
D=月〜木:6pm〜1am
  金・土:6pm〜2am