マンハッタン地区検事長も寛大措置? 未成年人身取引で起訴の富豪に

 性的搾取目的の未成年人身取引などの罪で6日に起訴された富豪のジェフリー・エプスタイン被告に対し、マンハッタン地区検事局のサイ・バンス地区検事長が、過去に寛大な措置を与えていた疑惑が持たれている。ニューヨークタイムズが9日、報じた。
 エプスタイン被告を巡っては、10年以上前にフロリダ州で未成年への売春勧誘の罪で起訴され有罪判決を受けた際、同州の連邦検事との司法取引により異例の軽い刑を言い渡されたとして問題視されている。
 同紙によると、バンス地区検事長の疑惑が指摘されているのは、2011年に同氏の下で性犯罪を担当していたジェニファー・ギャフニー検察官による申し立てについて。ギャフニー検察官は判事による聞き取りの際、フロリダ州で有罪判決を受けていたエプスタイン被告を、ニューヨーク州で最高レベルの性犯罪者として登録しないよう申告。身元の公表や記録の永久保存がない、最低レベルの性犯罪者として登録するべきだと申し立てた。判事は異例の申し立てに驚き、強く反対したという。
 バンス地区検事長は今月9日、この申し立てについて後になるまで知らされなかったと弁解。エプスタイン被告のことは知らなかったと述べた。
 記事によると同検事局はこの他にも、15年には映画プロデューサーのハービー・ワインスタイン被告がマンハッタン区トライベッカでモデルにわいせつ行為を行ったとする疑いを不起訴処分。バンス検事長自身も同年、トランプ大統領の長女イバンカ氏と長男ドナルド・ジュニア氏が不動産開発で投資家に故意に混乱を招いたとする容疑の不起訴を決めたことで批判を浴びていた。

バンス地区検事長(photo: Saffie 55)