最後の木製タグボートが復活 NY湾内巡るツアーで、毎週末に

 マンハッタン区のサウス・ストリート・シーポート博物館は、ニューヨーク湾で現存する最後の木製タグボート(曳船)「W・O・デッカー号」を使った湾内ツアーを5月から毎週末、催行している。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
 同博物館は古くから港湾都市として発展したニューヨーク市の歴史をテーマに紹介している。1930年ごろにに建造された全長50フィート(約15メートル)の「W・O・デッカー号」は半世紀にわたり曳船として活躍。最後の所有者、ジョージ・マッテソンさんが80年代に同博物館に寄贈し、同博物館が150万ドル(約1億6000万円)を投入して一般客が乗れるように修復した。同紙の取材にマッテソンさんは「ニューヨーク港生まれの船がまたここに戻ってきた」と復活を喜んだ。
 ツアー時間は45分。料金は1人35ドル(同博物館への入館料込み)。12人も乗船すれば満員になる。客船用に造られたものではないため、船が上下に揺れ、乗客が水しぶきを浴びることもしばしば。決して乗り心地が良いとはいえないが、同博物館の館長、ジョナサン・ボールウエアさんは「それがこのツアーの魅力」と自信たっぷりだ。
 ニューヨーク湾では趣向を凝らしたさまざまなクルーズが催行されているが、ボールウエアさんは「歴史的観点からも(タグボートツアーは)特別な意味がある」と胸を張った。

W・O・デッカー号。ワーキングハーバー委員会の公式ホームページより

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