DR.高田洋平 FUNCPHYSIOの気になる体のはなし Vol.26 筋膜の絶え間ない繋がり

 体の構造の中で筋肉、関節、靭帯、腱のことについてはよく耳にしますが、「筋膜」についてはあまりなじみがないかもしれません。筋膜とは頭から足までの筋肉と臓器、神経血管を覆う結合組織のことで、体の各部分の筋肉や臓器や神経血管を分離しています。これらの筋膜間には空間と滑走性があり、分離している体の構造1つひとつの固有の動きを確保しています。体を動かすとき、これら1つひとつの構造の個別した動きが必要です。ですから筋膜は体の「機能的関節」ともいわれています。

知っておきたい「筋膜の機能障害」
 筋膜が癒着する機能障害には、運動不足、水分不足、外傷、炎症・感染などさまざまな要因があります。その中でも現代人に多いのは運動不足による筋膜の滑走性の低下です。
 筋膜の専門家として米国で活躍するトム・マイヤーズが、筋膜の機能の表現にテンション(張力)とインテグリティー(統合性)を組み合わせた「テンセグリティー」という言葉を用いました。建築家のバックミンスター・フラーが作った造語で、構造の安定性には一定の張力が必要であるという意味です。


筋膜のテンセグリティー効果について学ぼう
 例えば下の写真は、1本1本の糸で繋がれ、その均等な張力によって形が保たれています。上から全体を押すと、それぞれの糸に張力が加わり柔軟性があり、形が変形しても崩れなく元に戻ります。しかし、もし1本でも糸が短過ぎたり長過ぎたりすると、本体の柔軟性や安定性が低下し、本来の形を保てません。糸が切れていても、形は崩れてしまいます。
 筋膜にも写真のようにこのテンセグリティーの機能があり、体の安定性や衝撃の吸収、そして構造の形を保つ重要な役割があります。
体全体を覆い繋いでいる筋膜の機能障害は、全身の機能に影響を及ぼすと言っても過言ではありません。筋膜の治療はしっかりと部位、深さ、方向を特定して行わなければいけません。

 ファンクフィジオNYのセラピストは、筋膜を解きほぐし伸張性を促進する「筋膜リリース」の治療のトレーニングも行っています。興味のある人はお気軽にご連絡ください。

藤井よし
takada_fujii
カリフォルニア大学(サンフランシスコ校)理学療法学博士課程修了。米国でも数少ない米国整形徒手療法学会(AAOMPT)のフェローシップ修了。顎関節などを専門とする。
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