ライカーズ島刑務所閉鎖へ 2026年までに、NY市議会が承認

 ニューヨーク市議会は17日、ライカーズ島刑務所を2026年までに閉鎖することを、36対13の賛成多数で承認した。市内各所に小規模の拘置施設を4カ所建設し、勾留者や受刑者を移送する。収容人数の大幅な削減が必要で、一筋縄ではいかなさそうだ。
 ライカーズ島はラガーディア空港近く、イースト川に浮かぶ島。刑務所は1万床以上のベッドを備え、裁判待ちで勾留されている被告や刑に服する受刑者を収容。その数は現在、1日約7000人に上る。刑務所内では受刑者による慢性的な暴力行為や刑務官の職務怠慢、劣悪な環境が問題となってきた。
 計画を推し進めるコリー・ジョンソン市議会議長は16日、「何十年もの間、社会問題の解決策は犯罪者を刑務所に放り込むことだった。この悪政の象徴がライカーズ島刑務所だった」と述べていた。
 提案では約80億ドル(約8677億円)をかけ、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクスの4区にそれぞれ拘置施設を新設。それぞれの施設にベッド886床を用意し、教育および就労支援の他、精神疾患の治療も行えるようにするという。
 ただし、4施設全体で収容できるのは1日3300人。収容人数を現在の半分以下に減らさなければならない計算だ。市によると1990年代のピーク時に1日当たり約2万3000人だった収容人数は近年減り続け、ここ6年でおよそ半数に縮小。実現可能だとしている。
 一方で報道によると「収容人数の削減が間に合わなかったらどうするのか」「既存の刑務所を改築できないのか」などの批判の声もある。