最期のお別れに抱擁も握手もなし 新型コロナ感染拡大でお葬式も変化

 ニューヨーク州は現在、「生活に不可欠」な仕事として葬儀場や火葬場を通常通り営業している。しかし、新型コロナウイルスがまん延し、社会的距離を取ることが命じられてから、葬儀のあり方が変化している。ウォール・ストリート・ジャーナルが25日、報じた。 
 マンハッタン区在住の著名ながん専門医、デービッド・キネさんは先週、新型コロナウイルスとは無関係の病気で83歳で亡くなった。キネさんは生前、メトロポリタン美術館やカーネギーホールでボランティア活動に参加、人望が厚かった。ところが、20日に行われた葬儀の参列者は30人ほど。息子のジョナサンさんは「誰も抱擁や握手ができなかった」と寂しそうに話した。
 葬儀の参列者は社会的距離を守るために50人まで許可される。しかし、直近の家族少数だけで行う、または葬儀を延期するのが望ましいというのが現在のガイドラインだ。
 オンラインで葬儀をする家族もいる。先週、80歳で亡くなった元マンハッタン区地方検事局のジョアンヌ・ジークムント副検事の葬儀はビデオ会議アプリ「ズーム」を使ってマンハッタン区のシナゴーグから中継。イスラエルからの参加者を含む150人が参列した。ブルックリン区在住のフレッド・ブラウさんも23日、母親サリタ・グロスマンさんの埋葬の様子をズームで中継した。シカゴにいる父親や約300人の親戚、友人が参加したという。