
共和党全国大会が15日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開幕した。13日に暗殺未遂事件に遭ったトランプ前大統領(78)が、会場に表れ、集まった2500人の代議員を大興奮に巻き込んだ。大統領指名候補本人が4日間ある大会の初日に姿を見せるのは、極めて珍しい。肉声は聞かれなかったが、階段を上がるほどの丈夫さを見せて、支持者のために感動的瞬間を演出した。
しかし、撃たれた右耳にガーゼをし、選挙集会では必ず見せる口角を上げた笑顔は見せなかった。慎重な面持ちで歩き、ニューヨーク・タイムズは「弱々しさを見せた」と書いた。事件直後のインタビューでは、「自分は死んでいたかもしれない」と語った。側近には「(大会では)今までとは違う自分を見せる」とし、彼らに接する態度も和らいだという。
生トランプを見た代議員らはその後、顔を紅潮させて街に繰り出した。女性は赤やブルーのスーツが多く、人々のファッションや街の装飾は星条旗の色にあふれている。イエス・キリストは私の救世主 トランプは私の大統領」と書かれたTシャツが飛ぶように売れている。歩道で「トランプ、トランプ」と叫んでいる代議員もいる。暗殺未遂事件を乗り越えたことで、トランプ氏は支持者にとって「神」のような存在となり、興奮を呼んでいる。
一方で、銃撃事件の直後であり、警備は厳戒態勢だ。2016年大会では、一般人も会場となっているアリーナの入り口までは行くことはできた。しかし、今回はアリーナの周りのブロック全体にポリスラインが張られ、バッジを持つ代議員とメディアだけがアリーナのエリアに入れるようになっている。機動性が高い自転車に乗った警察官隊も周りを取り囲む。州知事や上院議員などの代議員が集まるレストランにさえ、ライフルで武装した州兵が警備していた。
人工妊娠中絶を州レベルではなく、連邦レベルで禁止することを求める活動家ダン・ミラー氏は、会場前でこう語った。「民主党やファシストは、トランプの命を奪おうとした。こうしたことがあったら、トランプ氏に投票し、11月に勝利させるしかない」
大会代議員らは15日、トランプ氏を党候補に正式指名。同時にトランプ氏は、副大統領候補に強力なトランプ派上院議員J・D・バンス氏(39)を選んだと発表した。トランプ氏は大会最終日の18日に指名受諾演説に臨む。トランプ氏は、事件直後からショートメッセージやSNSで「団結」を訴えているが、演説でもテーマにする可能性が高い。(津山恵子 ミルウォーキー)

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