ニューヨーク州都市交通局(MTA)は市内の地下鉄の回転改札口に剣山のようなギザギザタイプの金属板を設置する新しい工夫を開始した。無賃乗車削減に意外と効果を上げているという。シークレットNYCが1月31日、伝えた。

この板があるのは42丁目/タイムズスクエアや59丁目/レキシントンアベニューなど利用客が多い駅。鳩よけの板が連想されて滑稽だ。しかし、これが効果を上げている。不心得者が改札口を飛び越えることが難しくなったからだ。
ニューヨーク州のホークル知事によると、過去6カ月に無賃乗車は26%減少。地下鉄利用者のうち無賃乗車をしているのは10%に上るが、昨年6月の14%から大きく減っている。ホークル氏は「無賃乗車はピークを超えた。今後も利用者や善良な市民を守り、公共交通機関を堅固なものにしていきたい」とコメント。「さらに対策を強化し、無賃乗車防止に力を入れる」と宣言した。
ニューヨーク市警察(NYPD)の協力を得て、地下鉄駅に配備する警官を増員したことも奏功している。さらに今年中に、回転バーを前ではなく手前に引いて隙間から滑り込む「Backcocking」による無賃乗車ができないようにする。新型の改札口も利用客の多い地下鉄駅20カ所に設置した。
MTAの有識者委員会がまとめた報告書によれば、2022年の無賃乗車による被害額は6億9000万ドル。市内のバスでも無賃乗車が問題となっている。ただ、過去6カ月の集計では、こちらも9.1%減っている。ニューヨーク市交通局(NYCTA)のクリックロー局長は「無賃乗車が減少したのは過去数年で初めて。今後もあらゆる手段を駆使して運賃に関する法令の遵守を確保し、全ての人が公平かつ公正に利用できる交通機関の運営に努めたい」と話している。
編集部のつぶやき
正直なところ、ばかにしていた「ギザギザ」が付いたバリア。メトロカードをスワイプしてグルリと回るターンスタイルは、背が高い人なら簡単に跨いで通れるし、小さい人は下をくぐれる。無賃乗車を減らすのにいちばん効いているのは、緊急ドアの前に警官や警備員がいることではないか。ベビーカーなどを通すための緊急ドアが開いた途端に、ターンスタイルに行かずにドッと改札内に入るという光景も減った。ただ、26%減っただけで、日本のようにゼロに近いという状況ではない。(K.T.)
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