2025.06.23 Miki COLUMN

『ちょっと得するNY20年主婦のつぶやき』(7)毎日使う「まな板」の選び方と注意ポイント

写真はイメージ(photo: Unsplash / Ilham Putra)

料理は“切る”ところから始まる。でもその“切る場所”=まな板に、どれだけこだわってますか? 実はこの地味なアイテム、素材によっていろんな違いが。そんな“まな板選び”の奥深さをのぞいてみましょう。あなたの台所にぴったりの「運命の一枚」、見つかるかもしれません。

      写真はイメージ(photo: Unsplash / Ilham Putra)

日本で「まな板」の「まな」とは「真魚(まな)」=魚のことを指し、「板」はもちろん「木の板」。つまり「魚をさばくための板」という意味が起源だそうです。のちに魚以外にも、野菜や肉を切る際にもつかわれるようになったらしいです。その後、まな板としては木製(特にヒノキやイチョウ)が主流になりました。

最近では、木はもちろん、いろんな素材のまな板が出ています。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのプラスチック、Epicureanなどのファイバーウッド、シリコン、TPU、ステンレス、チタニウムなどがよく使われているようです。

各種まな板素材の比較表

素材特徴長所短所おすすめ用途例
ポリエチレン(PE)柔らかめのプラスチック素材安価・軽量・傷ついても安全/滑りにくい傷が付きやすく、菌が入りやすい野菜・果物など軽めの食材向き
ポリプロピレン(PP)PEよりやや硬く、耐熱性がやや高い食洗機対応・安価・比較的丈夫長く使うと反りや変色の可能性肉・魚用としても使いやすい
ファイバーウッド(例:Epicurean)木繊維+樹脂を高圧圧縮した素材食洗機OK・薄くて軽量・デザイン性高い表面が硬く、刃に負担がかかる/高温で反る可能性パンやチーズのカット/軽作業用
シリコン柔らかくて丸められる柔軟素材滑りにくい・衝撃を吸収・収納しやすい包丁の切れ味を損ねる可能性/熱に弱い簡易的な調理、持ち運び、アウトドア向き
TPU(熱可塑性ポリウレタン)弾力性と耐久性を兼ねた高機能素材切り跡が戻りやすい・抗菌性・滑りにくい値段がやや高め/厚めで少し重い毎日のメインまな板としておすすめ
ステンレス金属製でとても硬く衛生的雑菌がつきにくく、臭いも残らない包丁の刃を痛めやすい・滑りやすいプロ用、衛生管理が必要な現場向き
チタニウム非常に硬く軽量な金属素材錆びにくい・耐久性抜群・軽い非常に高価/包丁のダメージが大きい可能性専門用途・アウトドア用
Williams Sonomaでのまな板売り場

◆ タイプ別により詳しく説明すると…

PEやPPといった素材、いわゆるプラスチック製のまな板は傷がつきやすく、その傷からマイクロプラスチックのかけらが発生するリスクがあります。頻繁に買い換えれば、それは防げますが、プラスチックのゴミを出すから、環境に悪いかも。

家で使っているファイバーウッドのまな板

ファイバーウッド(例:Epicurean)は、天然の木の温かみと、プラスチックのような扱いやすさを兼ね備えており、最近よく使われてますね。かなり硬めの素材なので、刃先が鋭い和包丁などを逆に傷つけてしまうことがあります。プラスチック製に比べて包丁の傷はつきにくいですが、まったく傷がつかないわけではありません。長く使うと表面がざらつくことがあるため、定期的なメンテナンス(ヤスリがけなど)が必要です。

シリコン製のまな板は、使用中にシリコン自体の細かい粉が出てくるリスクがあります。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)は、プラスチックとシリコンの利点を併せ持つ柔軟な素材です。包丁による傷がつきにくく、水を吸わず、清潔に保ちやすいことから、衛生的なまな板として注目されています。ただ、素材の特性上、じゃがいもを切った時のでんぷんの白いシミや油や濃い色の食材(カレー、ビーツ、キムチなど)の色素が染み込みやすい傾向があります。使い続けるうちに黄ばみや着色が気になるということがあります。

家で使っているチタニウム製のまな板、指紋や水跡が目立ちますね。

ステンレスとチタニウムは、表面に指紋、水跡、水のシミが付きやすいです。しかも包丁を使う時の音が結構うるさいです。また購入後には、まず研磨剤をしっかり落としてから使いましょう。

木のまな板は最もよく使われている定番のまな板ですね。包丁に優しく、天然素材で、落ち着きますよね。でも、食器洗い機には、入れないほうがいいようです。木製なので、温度変化によって収縮・膨張を繰り返す性質が残っており、食洗機の高温乾燥にかけると木材に隙間ができ、割れてしまうことがあります。しかも包丁の傷がつきやすく、その隙間に食品や微生物が入り込むと、カビが発生したり、食中毒の原因になることもあります。

また、目に見えない細かな穴が無数にあり、洗剤の成分が染み込みやすく、洗い残しによる健康被害のリスクもあるといわれています。

接着剤を使って小さな木片を貼り合わせたタイプの木のまな板は、使用する接着剤が健康に良くない場合もあるため、Single block cutting board(一枚板)のまな板を選ぶのがよいようです。さらに、定期的にミネラルオイルを塗ってお手入れすることも大切ですよね。

主婦たちの間では、「ステンレスやチタニウムのまな板を除くと、使っているうちにどうしても包丁で、まな板が傷ついてしまうよね。プラスチックやシリコン、木などのまな板の小さな破片が、料理と一緒に口に入ってしまわないかな」ということが時々軽い話題になります。そんなときは、「食べても安全な素材である木のまな板が一番マシなんじゃない?」 という冗談交じりの結論で落ち着くことが多く、結果的に、木のまな板人気につながっているのかなと考えることがあります。

◆ 最近はこんな便利なタイプも

ちなみに、最近ではこんなまな板もでてきています。

一回ごとに使い捨て用のまな板。アウトドア向け。

まな板は料理のスタート地点であり、衛生管理の出発点でもあります。毎日使うまな板だからこそ、最も注意深く扱うべき調理道具だと思います。

【今日のひとこと】

人生に後悔はつきものです。「やろうと思えばできたのに」、「やるべきだったのに」、「やらなければよかったのに」、「もっとうまくやれたのに」などなど。

人生に、正解はなく、誰も完璧な道なんて、教えてくれません。でも、ひとつだけ確かなのは、時間は戻らないということ。そして、どんな選択にも、それなりの代償があるということです。

結局のところ、どのまな板にも「一長一短」があるんですね。だからこそ、「どれが一番」ではなく、「自分に合うもの」を選ぶのが一番の近道。しかも、まな板の場合、一枚ではなく、料理によって使い分けてもいいですしね。キッチンの相棒として、これからもまな板とうまく付き合っていきたいものですね。

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