大きなギョロ目で歯を見せて笑う、ちょっと変わったキャラクター「ラブブ」。中国や韓国、そしてアメリカを中心に空前絶後の大ブームを巻き起こしており、ニューヨークで行き交う女子のカバンを見ても「ラブブ」だらけ。そして路上には大量のニセモノが出回るまでに・・・日本でも間も無く本格的なブームを迎えそうな「ラブブ」について紹介したい。

◆ ラブブはどこで生まれた?
もともと香港出身のアーティストカシン・ルン(Kasing Lung)が手がける絵本シリーズ「The Monsters」に登場した同キャラクター(2015年)。その後2019年には中国のトイメーカー「POP MART(ポップマート)」とのパートナーシップが結ばれ、今の形であるボックスに入ったフィギアとして販売されるようになった。

そこから数年が経ち、この「ラブブ・ブーム」の火付け役となったのは、韓国の人気アイドルグループBLACKPINKのリサ、またアメリカのティーンから絶大な支持を得るヘイリー・ビーバーなど、海外のセレブリティたち。彼女たちが「お気に入り」とSNSで呟いたことで、瞬く間にアメリカでも注目されるようになった。

そして、その人気は単にコレクションとして楽しまれるだけではなく、ファッションアイテムとして使用できることも影響している。2024年から今年にかけて、ハイブランドのミニバッグに存在感のある大きめのキーホルダーやチャームをつける「デコバッグ」(90年代ごろに流行)が再び風を吹かしており、そんなトレンドにも見事にマッチ。人形の上部についている丸いキーチェーンがバッグに取り付けやすいという機能面も相まっているのだ。
◆ 「開封動画」に賛同する若者たち
また、ブーム一連の背景には「開封動画」も大きく関わっており、TikTokやInstagramなどで「Unboxing(アンボクシング)動画」が大流行。1人で、または友人と集まり、箱を開けながら「何色が入っているのか?」「顔立ちは整っているか?」「ニセモノの場合のクオリティはいかがなものか?」など、SNSでは企画モノのひとつとなっており “あえてトレンドに乗っかっていく” 形で若者が次々に賛同し、ますます広まっていった。
現在、アメリカでラブブを扱う店舗やアマゾンなどのウェブサイトでは「本物」の希少性は高くなっており、巧妙に作り込まれたニセモノ(Lafufuと呼ばれているそう)が街に溢れ、本物は15ドルほどの元値の3~4倍で転売なども行われている。
そして最近では、そんな苦労して手に入れたラブブを汚さずに持ち歩ける、クリアの保護ケースの需要も高まってきており、アマゾンで「Labubu」と検索すると本体は在庫切れで手に入らないためか、保護ケースが先に出てくる。

◆ 日本ではこの夏「ユニクロ」とコラボ
アメリカのみならずアジア圏での人気も凄まじく、発祥地である中国、そして台湾、韓国でもトレンドとなっており、中国では先日とあるフィギアが2200万円で落札されたというニュースも出ていた。
日本での認知度は東京を中心に高まってきてはいるが、まだ “爆発的” とまでは行っていないようだ。だが、来る8月にはアパレルブランド「ユニクロ」のUTとのコラボレーションが販売される予定なので、この夏が山場といったところだろうか。
◆ 実際に買ってみた
筆者もこのブームを体感すべく、ラブブを一体ゲットして、開封体験を味わってみた。もともと欲しい!と熱望していたわけではなかったが、いざ箱を開ける瞬間になると「何色が入っているんだろう?」「ピンクがいいな」など高揚感すら感じ始め、子どもの頃に味わったクリスマスプレゼントを開封するときのようなワクワク感が味わえた。


買ってみた感想としては、大きめのキーホルダーを大人買いするという背徳感、また開けるまで中に何が入っているかわからないという日本でいう「カプセルトイ」のような楽しみが味わえた。ブームという枠を超え、社会現象と化すラブブ。この先どこへ向かっていくのだろうか? 改めて、いつ何が流行るか予測ができない「トレンド」というのは面白い。
P.S. 筆者的には、街の雑貨屋に売られている「2軍ラブブ」とも言える、ふわふわとしたキャラクターたちの行く末も気になるところ。


文・写真/ナガタミユ
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