2026年5月12日 NEWS DAILY CONTENTS

クルーズ旅行は危険? “ハンタウイルス集団感染”で旅行者が知るべきポイント

MVホンディウス号でのハンタウイルス感染拡大は、コロナ禍におけるクルーズ船の混乱を思い出させる。旅行を計画中の人はクルーズ旅行の計画を中止すべきかどうかを尋ねるため、Redditなどのオンライン掲示板に書き込みを続けている。9日付のウォール・ストリート・ジャーナルは、クルーズ旅行での病気のリスクについて知っておくべきことを紹介している。

All-Inclusive(料金全て込み)のクルーズ旅行は全世代で人気が高いが、ここにきて信頼が揺らいでいる(photo: Unsplash / Ameer Basheer)

ハンタウイルス集団感染は珍しい?

クルーズ船に限らず、ハンタウイルスの集団感染は極めてまれだと話すのは、ニューヨーク大学グロスマン医科大学・感染症専門医のセリーヌ・グンダー博士。米疾病予防管理センター(CDC)によると、船内で報告される下痢の90%以上を占めるノロウイルスなどの感染症の方がより頻繁に発生している。

グンダー博士は、今回の感染源となったハンタウイルス・アンデス株の感染は、一般的に新型コロナやインフルエンザ、はしかのような空気感染する病気ほど容易ではないと考えられていると指摘する。「(感染するには)夫婦や介護者同士のような、密接かつ頻繁な接触が必要となる」とグンダー博士。MVホンディウス号で発生している集団感染は、クルーズ船における初のハンタウイルス集団感染事例であると見られている。

クルーズ船での集団感染の可能性

公衆衛生の専門家は、大学の寮、介護施設、矯正施設などで集団感染を引き起こす要因と同じメカニズムがクルーズ船内にも存在すると指摘するが、ジョンズ・ホプキンズ大学健康安全保障センターで感染症専門医兼上級研究員を務めるアメシュ・アダルジャ博士は「最初の感染者がクルーズ船に乗っている間に感染を広げたという事実以外、今回の事態とクルーズ船は直接的関係はない」と話す。

船内で病気が発生するとクルーズ船が注目されがちだが、感染症への曝露は日常生活の至る所に存在する。アメリカで報告されているノロウイルス集団感染のうちクルーズ船が占める割合はわずか1%。国際クルーズ船協会(CLIA)によると、世界のクルーズ業界は2025年までに300隻以上の外洋航行船を擁し、約3800万人の乗客を輸送すると見込まれている。

クルーズ船内で感染症が発生したら?

運航会社は感染した乗客を隔離したり、清掃体制を強化したり、寄港地では検査のための検体を採取したりすることもある。アメリカの港に入る船舶については、運航事業者は乗客や乗組員の間で発生した特定の疾病をCDCに直接報告することが義務付けられている。MVホンディウスのような国際航路を運航する船舶は、世界保健機関(WHO)の下で策定された保健・衛生プロトコルに加え、旅行や輸送による感染症の越境拡散防止に焦点を当てた欧州連合(EU)支援の公衆衛生イニシアチブプログラムにも従うことが求められている。

船上でのリスクを抑えるには?

こまめに手を洗い、体調が悪いときの旅行は避ける。旅行中や旅行後に症状が出た場合は速やかに医師の診察を受けること。ほとんどのクルーズ船には医療スタッフが常駐しており、急性疾患の応急処置や緊急医療の提供、さらに高度な治療が必要な場合の搬送手配を行う訓練を受けている。

より遠隔地での探検スタイルの旅程については、旅行者は事前に目的地特有の健康リスクについても調査しておくこと。これには推奨される予防接種、マラリア対策、エクスカーションが行われる場所に応じた適切な虫除け対策などが含まれる。また、出発前に旅行保険の契約内容を慎重に確認することも忘れずに。

計画中のクルーズはキャンセルすべき?

現時点では、多くの感染症専門家の間では「キャンセルする必要はない」との意見が主流だ。MVホンディウス号での感染拡大は深刻だが、このウイルスは極めてまれであり、また極めて特殊な状況下での発生であるため、現時点では複数の船に急速に広がるような広範な脅威を示すものではない。

クルーズの圧倒的多数は重大な健康上の問題なく終了しているが、大勢の人が集まる場所であればどこでもある程度の感染症への曝露は常にあり得る。専門家のアドバイス? それは、旅行を完全に避けるのではなく、責任を持って旅行することだ。

                       
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