米国土安全保障省(DHS)は22日、午前6時(アメリカ東部時間)から全米の空港でTSA PreCheckとGlobal Entry の専用レーンを停止すると発表した。しかしその後、米運輸保安局(TSA)がPreCheckは継続運用すると発表し、Global Entryのみ停止状態が続くとの異例の展開となった。これにより、プログラムの利用資格を持つ旅行者であっても、一般の保安検査を受ける必要が出ている。

◆なぜこの混乱が起きたのか?
今回の措置は、DHSの予算が2月14日に尽きたことによる「部分的な政府機能停止(partial government shutdown)」が背景にある。DHSに対する予算が議会で合意に至らず、資金が停止したため、DHSが複数のサービスを縮小・停止する措置を取った。
◆PreCheck と Global Entry はどう違う?
・TSA PreCheck:アメリカ国内の空港保安検査を優先的に通過できる制度。普段の保安線より短時間で通過できる。
・Global Entry:アメリカ国外から帰国する際の入国審査を簡略化し、通常数十分かかる審査を数分で済ませられる制度。
◆前回の「政府機能停止」との関係
2025年10月からの長期的な連邦政府の停止では、TSA職員が給与なしで働き続ける状況が続いたため、呼び出し欠勤が増え、検査ラインが遅延した事例があった。専門家は、この経験が今回の混乱にさらに拍車をかけていると指摘している。今回の「部分的停止」はDHSだけを対象としているため、航空交通管制など他の連邦機関への直接的な影響は限定的だが、空港保安や入国管理に携わる人員の負担やモラル低下が懸念されている。
◆どうやって解決される?
現時点では、政府機能停止の根本的な原因であるDHS予算の議会承認が進まなければ、停止状態は続く可能性が高い。議員の対立点は移民政策や国境管理の強化方針などにあり、合意形成は簡単ではない。専門家は次のような解決策を指摘している。
・早期の予算成立・継続決議案の通過
・DHS内の一部サービスを手数料ベースで運用する仕組みを強化(例:PreCheckのように自己資金で維持できるプログラム)
・旅行者・経済界の要望を背景に、政治的な妥協点を探る努力
ただし、合意が遅れれば、入国審査や保安検査の混雑がさらに長引く可能性がある。こうした中で、利用者の関心が高いタッチレス入国手続きやMPCの運用についても確認しておきたい。
顔認証などのタッチレス入国手続きや、MPC(モバイル・パスポート・コントロール)については、入国審査自体が継続しているため、原則として利用は可能。ただし、空港ごとの運営体制や人員配置によっては、専用レーンの縮小や待ち時間の増加が生じる可能性がある。
◆私たち(旅行者・読者)がすべきこと
今回の出来事は 突然の方針変更で旅行者に混乱を与えたが、旅行そのものが全面停止するわけではない。実際、PreCheckが継続されている空港も多い。今後の対策としては次の点を心がけたい。
・ 通常の保安検査に並ばされる可能性を考慮し、余裕を持って出かける
・ 旅程が変更される可能性を想定し、航空会社の最新情報を常にチェックする
・Global Entryを含むプログラムの利用予定がある場合は、余裕を持った計画を立てる
・ 旅行計画が近い場合は、状況が落ち着くまで早めの予約や変更手配を検討する
◆最後に
アメリカの部分的な政府機能停止は政治的な対立が背景であり、航空・旅行業界の運用にも波及している。DHSの予算が議会で承認されない限り、このような混乱は再度起きる可能性がある。短期的な混乱に備えるとともに、予算問題の進展を注視することが重要である。
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