自然史博物館で無料修士課程　不足する科学教師を育成

　アメリカ自然史博物館は、科学教師の不足に対応するため、授業料無料で修士号が取得できるプログラムを提供している。ニューヨーク州教育局の承認を受けた同プログラムは、学位取得後、ニューヨーク市の高校で科学教師となることを前提に、同館が主催する修士課程に進むための新卒者の学費を免除するもの。
　同局が発表した報告書によると、2008年から09学年度における市の地球科学の教師のうち、39％は無資格であったという。同プログラムは、寄付および米教育省から受けた「教師の質向上のための助成金」540万ドルにより賄われる。
　同館はこれまでも、ストーニーブルック大学やコーネル大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学などと共に、同館所属の約200人の科学者や研究員らによる教育プログラムを提供している。館長のエレン・Ｖ・ファッター氏は、人材的にも物質的にも恵まれた同館の独自のプログラムで、優秀な若い科学者を育てることに意欲的な姿勢をみせている。
　同館のミルスタイン・ホール・オブ・オーシャンライフで27日に行われた卒業式に出席した数十人の第２期卒業生たちは、名物である青い鯨の展示物の下で学位を授与された。卒業生の中には、比較生物学の博士号や教授法の修士号を授与された者もいた。同館は、修士号および博士号が取得できる全米で唯一の博物館である。